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2021.12.27
RPAの開発手順から役に立つ開発言語まで紹介|導入するメリットでメリットは?
RPAが注目され、自社内でRPAを導入するという動きがあるものの、開発方法や導入のメリットなどについて詳しく理解できていないという方は多いのではないでしょうか。
・RPAの開発方法について詳しく知りたい
・RPAは自社で開発できるのか、自社で開発した方がいいのか知りたい
本記事では、上記のような疑問を抱えている人の疑問を解決するために、RPAの開発手順や開発言語までさまざま情報について解説します。
RPAとは
RPAは「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の略称であり、ロボットによる業務プロセスの自動化のことです。
RPAは簡単にいえば「PC操作自動化ツール」であり、単一の動作を得意としています。
以下のような業務にて活用可能です。
- データ入力
- 定型業務
- 情報収集・分析
RPAについての詳しい解説は以下の記事でも説明しています。
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RPAとは?注目される背景やメリット・デメリットをわかりやすく解説
RPAツールの種類
業務の効率化・自動化のためにRPAを稼働させるには、人の手でRPAを開発しなければなりません。使用するツールの種類は以下の2通りです。
- 画面操作記録型
- コーディング型
種類によってメリットやデメリットが存在するため、開発をする際は自社にあった方法を選びましょう。それぞれの種類について、解説していきます。
画面操作記録型
人がパソコン上でおこなう作業を記録し、ロボットに再現させる手法です。
別名「簡易型」とも呼ばれており、高度なプログラミングの知識がない人でも開発できます。
簡易型は、基本的にシンプルな作業に適していますが、細かいカスタマイズは可能なため、機能を組み合わせれば複雑な作業も設定できます。自社に高度なプログラミングのノウハウがない場合には、画面操作記録型がおすすめです。
コーディング型
コマンドを組み合わせることで、フローを作成し、ロボットをフローの通りに動かす手法です。「開発型」とも呼ばれている手法であり、高度な作業も自動化できます。
しかし、複雑な作業を自動化させるためには、JavaやC言語などの知識が必要です。
コーディング型はプログラミングの知識が必須であるため、社内での開発が難しい場合は、他社へ依頼しましょう。
RPA開発の手法
RPAを開発する手法は、画面操作記録型とコーディング型で異なります。
画面操作記録型は、WinActorを利用することにより、プログラミングの知識が薄い人でも開発可能です。
一方で、コーディング型はプログラミング言語を用いた開発手法なので、ソフトウェア開発の経験が必要になります。
- 画面操作記録型の開発手法
- コーディング型の開発手法
それぞれの開発手法を、具体的に紹介します。
画面操作記録型の開発手法
画面操作記録型は、プログラミングの知識が薄い人でも開発可能です。
WinActorを利用することでより効率的に開発を進められるため、利用をおすすめします。
WinActorでの開発方法は、以下3つの手順が挙げられます。
- ロボットを作成
- ロボットを編集
- ロボットを実行
簡単な業務シナリオであれば、WinActorのレコーディング機能を起動した状態で、記録したい画面操作を実行するだけでシナリオが完成します。ここではプログラミングは必要ありません。さらに複雑なシナリオを作成したい場合は、VBScriptを使ったカスタマイズを行います。
コーディング型の開発手法
コーディング型は、プログラミング言語を用いた開発手法なので、JavaやC言語の知識が必要です。ソフトウェア開発の経験がないと難しい手法といえます。
コーディング型の開発手法では、ウォーターフォール型開発よりもアジャイル型開発の方が向いています。
アジャイル型開発は「仕様や設計の変更が必ずある」という前提のもと、大体の仕様だけで細かな反復開発を始めます。小単位での実装とテスト実行を繰り返すことで、段階的に開発していく手法です。
ウォーターフォール型は、開発工程を以下の5つに分けて一つひとつを完了させながら、進行していく手法です。
- 要件定義
- 外部設計
- 内部設計
- 開発実装
- テスト
RPA開発に役立つ言語
RPAの開発に役立つ言語は以下の通りです。
- Python
- AccessVBA
- HTML・CSS
RPAを開発する場合、プログラミングの知識は必須ではありません。
しかし、エラーやトラブルは必ず起きるため、運用や保守のためにある程度の知識は身につけておくことをおすすめします。
それぞれの言語について、解説します。
Python
PythonはRPAの開発に必須ではありませんが、知識があればRPAだけでなく、業務にあったシステムを開発できます。
Pythonを用いると、Excelファイルから条件に合致したデータだけを抽出し、テキストファイルに書き出す作業の自動化などが可能です。
AccessVBA
AccessVBAは、マイクロソフトが提供するDBアプリで用いられる言語です。データ入力や出力する際によく使われています。
AccessVBAの知見があれば、データの整理の自動化が可能になります。
VBAプログラミングやDBの知識があると、RPA開発のシナリオ作成、運営保守に役立つため、事前に身につけておきましょう。
HTML・CSS
Webアプリを自動化する場合、より効率的に情報を入手したり、Webページの構造を利用して繰り返し処理をすることができます。
HTMLとCSSはプログラミング言語ではなくマークアップ言語であるため、習得はpythonなどと比べると難しくありません。動画サービスなどを参考に勉強を初めてみるとよいでしょう。
RPAの開発手順
RPAの開発手順は以下の通りです。
- 基本条件(要件)の定義
- シナリオの作成
- RPAの動作チェック
- 定期的なメンテナンス
RPAの開発手順に誤りがあると、開発後、正確に起動しなかったり、修正で多くの時間を取られてしまいます。開発手順について、順を追って具体的に紹介します。
基本条件(要件)の定義
まずは、手作業でおこなわれている業務の中で、どこを自動化するのかを決定します。その際、業務全般を包括的に見定めることが重要です。
業務効率の改善など、目先の目的を定めるのは適切とはいえません。
社員のルーティンワークからの開放などから、ロードマップを描き、新たなビジネスプロセスへの変化や創出を目指すことが重要です。
シナリオの作成
自動化する範囲が決まったら、業務を自動化させるためのシナリオを作成します。
RPAは設定した作業を順番通りにしかおこなえません。
したがって、シナリオを作成する段階で業務順番を間違えてしまうと、エラーが起きてしまうので、業務をおこなっている人からのアドバイスを取り入れることが重要です。
RPAの動作チェック
次に、デモデータを用いて、動作チェックをおこないます。
不正なデータなども意図的に交えることで、エラーがしっかりと出るのか検証しましょう。
耐久テストなどもおこなっておき、長時間の稼働でも問題がないか見定めることが重要です。
定期的なメンテナンス
エラーやトラブル発生時に備えるために、定期的なメンテナンスが必要です。
自動化業務を追加する場合や、ツールの仕様変更があった際もメンテナンスが必要になります。
RPA開発は自社開発するべき?委託するべき?
RPAは自社開発が可能ですが、企業の基幹業務に関わる場合や初めてRPAを導入する場合は、外部のRPAベンダーなどに依頼するのがおすすめです。
自社開発と外部委託はそれぞれのメリットが異なるため、その点を考慮して、最終的な選択をしましょう。自社開発と外部委託のメリットについて、詳しく解説します。
自社開発の特徴
RPAは自社開発も可能です。
以下の要因により自社開発でのRPAの普及が進んでいます。
- コロナの感染拡大による働き方改革の推進
- DXの推進
- 導入コストの低さ
- プログラミングの知識がなくても始められる心理的障壁の低さ
自社開発は、コスト抑制やロボットの動作をすぐに変更できる点が大きなメリットです。
しかし、実際には期待していた効果を得られなかったという企業が多いのが現状です。なぜなら、複雑な作業を自動化するためには、プログラミングの知識が必要だからです。
また、対象業務の選定やトップと組織間の温度差のギャップを埋められるプレイングマネージャーが現場にいないケースが多いことも原因として挙げられます。
このように、自社開発はコストメリットはあるものの、技術と組織の壁を越えられず、RPAの性能を引き出しきれずにプロジェクトが頓挫してしまう可能性もあるため、自社内に必要なスキルセットを持ち合わせた人材がいるかどうか、プロジェクト発足段階で確認し、業務を変えていく権限をきちんと持たせることができるかが重要です。
外部委託の特徴
初めてRPAを導入する場合や企業の基幹業務に関わる作業を自動化する場合は、専門家に依頼することをおすすめします。慣れていない作業はトラブルの原因になる可能性が高く、重要な作業は専門家に任せた方が確実な成果を期待できるからです。
しかし、外注に任せきりになってしまうと社内にノウハウが溜まらないというデメリットが大きくなります。
ちょっとしたシナリオの変更のたびにコストを支払う構造になってしまうと、RPA導入によるコスト削減効果がRPA維持のためのコストで相殺されてしまうことも起きかねません。
このため、導入初期は専門家の知見を使ってベースラインを整え、運用が安定したら、ドキュメンテーションの整理や勉強会の開催、社員の育成とスキルトランスファーにより保守・運用を内製化する一方で、難易度の高いシナリオの新規作成や機能追加だけを外部に切り出すのがRPA開発成功への最適解のひとつです。
RPAの導入事例
日本の大企業では、すでにRPAの導入によって以下のような利益を得ています。
- 利便性の向上
- 作業の効率化
- 処理時間の短縮
- コスト削減
今回紹介するのは、以下の2社と自治体による導入事例1件です。
- 三井住友フィナンシャルグループ
- サッポロビール
- 神奈川県横浜市
どちらの企業も、RPAで作業を代替することにより、経費削減や業務効率改善のメリットを得ています。また、自治体に関してもRPAを導入することで、管理側と市民側の両方に多くのメリットが生まれています。
それぞれの導入事例について、詳しく解説します。
三井住友フィナンシャルグループ
三井住友不動産は、2017年4月からの3カ年中期経営計画において、デジタル技術を利用した生産性の向上を掲げました。
2019年9月末までの2年半の間に、1,400台以上のロボットを導入して、累計290万時間の作業の効率化に成功したのです。
営業担当者が取引先に訪問する際の準備作業をRPAに任せることにより、訪問件数や提案内容の質を向上させながら、1,450人分の業務を削減しました。
参照:RPAで年100万時間超を削減した三井住友FG、ソフトロボ1400台開発の極意
サッポロビール
グループ会社がWebサイト上で公開しているPOSデータをダウンロードするために、RPAを導入しました。
POSデータは「Point Of Sales」の略称で、店のレジで商品が販売されときに記録されるデータです。
今まで人の手でおこなっていた作業をRPAで自動化することにより、年間1,100万円のコスト削減に成功しています。
神奈川県横浜市
神奈川県の横浜市では、ペーパーレス化にともない、横浜市こども青少年局保育・教育認定課にて、RPAとAI-OCRを用いた保育所への入所受付処理の自動化をおこないました。
RPA導入前、横浜市は入所受付処理の申請書約1万7000件分を、内容確認から業務システム入力まですべて手作業でおこなっていました。
RPAとAI-OCRの導入による実証実験では、申請書をスキャンするだけで自動的に情報を読み込む形で作業工程を削減、人がおこなう作業はスキャンと目視での確認のみになり、結果的に500時間もの稼働時間を削減、処理時間の短縮に成功しました。
参照:AI-OCRとRPAの組み合わせで業務効率化を図った横浜市の取り組み
横浜市、保育所への入所受付処理をOCRとRPAで効率化、2021年度の申請から利用開始 | IT Leaders
RPAの導入事例については以下でも解説しています。
▼関連記事
RPA副業は稼げる?副業で稼ぐ方法と単価相場を紹介
まとめ
RPAツールは画面操作記録型とコーディング型の2種類があります。
RPAの開発は自社開発でも可能ですが、RPAと開発に慣れていない場合は外部への委託も検討しましょう。
導入コストの低さや、プログラミングの知識がなくても自社開発が可能という謳い文句から、急激にRPAの導入が進んでいます。しかし、実際には満足した結果を得られていないと企業も多いです。
そのため、複雑なシナリオにも対応でき、豊富なプログラミング知識があるエンジニア人材が求められています。
また、対象業務の選定やトップと現場の間の期待値ギャップを埋められるマネージャーも重宝され、それらを支援できるコンサルタントの需要も大きいでしょう。
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