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2022.1.25
CRM施策で行うことは?具体的な取り組みやメリット・導入事例も解説
CRMとは、顧客情報を分析してアプローチするマーケティング手法だと知っているものの、具体的にどのような施策を行えばよいのか気になっていませんか。
売上や利益拡大のためにCRMを導入する企業は年々増加していますが、適切に施策を行わないとCRMの効果は期待できません。
そこで本稿では、CRM施策を行うための8ステップを解説するとともに、具体的な施策や導入事例、CRM施策を成功させる秘訣も紹介します。
CRM施策を行うための8ステップ
はじめに、CRM施策を行うための8つのステップを解説します。
CRMとはそもそも何か、意味や導入のメリットデメリットについては以下の記事でも解説しています。
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①CRMの導入目的やKGIを設定する
CRMツールを活用する前に、最終的なゴールをあらかじめ決めておくことが重要です。
目標を決めておかないと、途中で方針がずれてしまったり、関係者内の認識違いが発生したりなどのリスクがあります。
さらに導入目的が不明なため、関係者がCRM業務の意義がわからなくなりモチベーション低下の恐れがあるのです。
何のためにCRMを導入するのか、最終目標は何なのかを決めて関係者へ周知するべきです。共通目標をもつことで、認識のずれなく作業の効率化につながり、関係者のモチベーションを維持します。
②KPIを設定する
決めた目標(KGI)に対して、どのような課題があるのかを明確にしてKPIを設定します。KPIが未設定の状態では、施策の効果をはかれません。
設定するKPIは企業によって異なるため、自社のビジネスモデルに合ったKPIを決める必要があります。ただし最初から、適切なKPIを設定するのは難しいものです。
KPIを設定した後も常に正しい指標なのか検証し、必要に応じてKPIを変更していきます。
CRM施策のKPIの設定例は、以下のとおりです。
- LTV(顧客生涯価値)
- 新規顧客からのリピート率(F2転換)
- 解約率
- 顧客単価
- アップセル率
- クロスセル率
③システム連携を行う
CRMツールと他システムを連携しておくと、業務の効率化や顧客満足度アップにつながるため、システム連携はするべきです。
複数のシステムにデータを入力する手間が省けて、他部署が行った顧客対応の状況も一元管理で把握できるようになります。
CRMの連携機能やEAIツールを活用して、以下システムとの関連付けが可能です。
- SFA(営業支援システム)
- MA(マーケティングオートメーション)
- 独自データベース
④顧客情報を取得する
次に、分析に必要な顧客情報を取得していきます。
顧客の属性と購買行動に関する5W2Hの情報から、どのような人が購入頻度が高いのか、効果的なアクションは何かを分析できるようになります。
顧客属性 |
---|
・氏名、住所、電話番号、メールアドレス、生年月日
・興味/関心 ・学歴/職歴 ・家族構成など |
5W2Hの情報 |
---|
・Who 購入者
・When 購入日時 ・Where 購入場所(店舗やWebサイト) ・What 購入商品 ・Why 購入目的 ・How 購入経路(メルマガ、広告配信など) ・How much 購入金額 |
⑤顧客情報を管理する
顧客情報を取得したら、目的に応じて管理します。顧客情報を適切に整理することで、分析しやすくなるのです。
データの分類方法は、4種類のセグメンテーションに分ける方法と定量データ・定性データによる分類があります。
4種類のセグメンテーションは以下のとおりです。
セグメンテーション | 説明 |
---|---|
人口統計学的属性 | 顧客の性別や年齢、所在地域、職業などのデータを指します。顧客分析で最も活用されるデータです。 |
地理学的属性 | 地域特有の気候や人口密度、文化、流通ルートなどのデータを指します。 |
行動学的属性 | 顧客の行動によって発生するデータを指します。
セミナーへの参加やWebサイトへのアクセス、インターネット利用時間などが該当します。 |
心理学的属性 | 顧客が興味のあるジャンルや価値観・傾向、性格などのデータを指します。 |
定量データは、数値化できるデータのことです。反対に定性データは、数値化が難しいデータを指します。
例えば、顧客情報や購買履歴などの情報は定量データに該当します。問い合わせ内容や要望、感想、苦情などの文章データは定性データです。
⑥CRM分析をする
管理された膨大な顧客データをもとに、CRM分析をしていきます。
主な分析方法は、以下の5つです。
CRM分析の手法 | 説明 |
---|---|
RFM分析 | Recency(直近購入日)、Frequency(購入頻度)、Monetary(購入金額)の3つの指標で分析する方法です。
リピーター顧客を優良顧客と判断するため、Frequencyの指標を重要視します。 |
デシル分析 | 全顧客の購入金額が多い順に並べて10等分にして分析する方法です。
高額または少額での買い物客の行動パターンや特徴などが分析しやすくなっています。 |
セグメンテーション分析 | ニーズや顧客属性の要素でデータを分類して、顧客分析する方法です。
どんな属性の人がどんな商品を購入するのかを把握できます。 |
CTB分析 | Category(カテゴリー)、Taste(テイスト)、Brand(ブランド)の3つの要素で分析する方法です。
売れている商品の特徴を把握できます。 |
LTV分析 | LTVは顧客生涯価値(Life Time Valueの略)を意味します。顧客が一生のうち、合計でどれくらい購入してくれるのか表す指標です。
LTVが高い顧客を分析して、優良顧客に合ったアプローチができます。 |
⑦分析結果に応じた施策を行う
顧客情報を収集・分類・分析が終わったあとは、具体的にCRM施策を計画して実行していきます。
目標達成への道のりを明確にするため、KPIを意識しながら施策を行うことが大切です。
⑧CRM施策の効果を検証する
計画したCRM施策の効果を、KPIを照らし合わせながら検証します。
一発で効果的なCRM施策を導き出せるわけではありません。効果の結果次第では、KPIやCRM施策を練り直す必要があります。
CRM施策の具体例
CRM施策は主に以下の例があります。
- メール配信
- 広告配信
- その他(公式LINE、同封物)
メール配信
CRM分析で分類された顧客に最適なメールを配信することで、KPIの効果を期待できます。
LTV改善につながるメール施策例は以下のとおりです。
種類 | 内容 |
---|---|
メルマガ | 企業や団体が定期的に、登録者に対して情報発信を行うメール |
ステップメール | 申込日や購入日などある日付時点を起点に、スケジュールに沿って自動で順次配信するメール |
レコンドメール | 顧客一人ひとりのニーズに合わせた内容を発信するメール |
カゴ落ちメール | ECサイトでカゴに商品は入っているものの未購入の顧客に対して、購入促進のために自動配信するメール |
ブラウザ放棄メール | 商品ページを見たもののカゴに入れなかった顧客に対して、購入促進のために自動配信するメール |
ポイント明細/有効期限メール | 顧客のポイント数や有効期限の情報を定期的に自動発信するメール |
バースデーメール | 顧客の誕生日に、お得クーポンの提供や顧客のニーズに合った商品の紹介などを発信するメール |
休眠発掘メール | 前回の購入から間があいている顧客に対して、クーポン情報をあわせて再購入を促すメール |
広告配信
広告配信のCRM施策には、DMPとCRMを連携した広告配信や、アドレサブル広告があります。
DMPとは「Data Management Platform」の略で、インターネット上でユーザーの属性や行動履歴などのデータを一元管理するプラットフォームです。
アドレサブル広告は、CRMデータを活用して特定のユーザーに最適な広告を配信する方法です。
その他公式LINE・同封物
その他に公式LINEとCRMを連携させて、特定のユーザーに最適な広告を配信する方法があります。
LINEの利用者は多いため、メッセージの開封率は高くなる傾向です。一方で離反顧客が多くなるリスクがあります。
商品の同封物にCRM施策としてチラシを盛り込む方法もあります。開封率は100%とされるため、チラシを目に触れる確率は高いです。
チラシのデメリットは、内容をどの程度読んだのかを検証するのが難しい点です。
CRM施策を行うメリット
CRM施策を行う主なメリットは、以下3つです。
- LTVの向上につながる
- 顧客満足度の向上につながる
- 他社と差別化されていく
LTVの向上につながる
特定の顧客に最適なタイミングで施策を打ち出せるため、LTVの向上につながります。
また顧客情報を一元管理して分析するため、無駄な作業が減少し営業部門のパフォーマンスが向上します。売上拡大につながる新しい施策にも取り組めるようになります。
顧客満足度の向上につながる
顧客一人ひとりにあったアプローチができるため、顧客満足度の向上につながります。
社内で情報が一元管理されるため、他部署との顧客とのやりとりもしっかりと把握できるようになるのです。
他社と差別化されていく
CRMで分析・施策することで、顧客に最適なタイミングでの商品アピールや情報提供を行えます。
これにより、他社と差別化されて自社商品のブランド力向上が期待できます。
CRMを導入するメリットや目的意義については、以下の記事で詳しく解説しています。
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CRMとは?期待できる効果や導入時のポイント・人気のCRMツールを紹介
CRM施策の事例紹介
多くの企業でCRMが導入されており、各社でCRM施策による大きな効果が出ています。今回はCRM施策の事例として、以下の3社を紹介します。
- 星野リゾート
- NECネクサソリューションズ
- プレコフーズ
星野リゾート
星野リゾートはCRMツールを導入して、予約キャンセルの半減に成功しました。従来はExcelで顧客管理をしていたため、各拠点の情報を集約するのに2週間のタイムラグが発生していました。
その点がCRMツールの一元管理で、リアルタイムで把握できるようになり、業務スピードが向上、顧客の状態も迅速に把握して対応できるようになったのです。
参照:大手企業の失敗しない労働コスト削減の秘訣とは|Zoho CRM導入事例
星野リゾート、クラウド型のCRM/BIツールを導入–来館予約のキャンセルを半減
NECネクサソリューションズ
NECネクサソリューションズは、営業プロセスの見える化のためにSFA・CRMを導入しました。
CRMツールの管理指標を使用して、従来1日かかったヒアリングが1時間程度に短縮しています。複数回訪問していた営業活動が1回で済むようになり、営業効率が2~3倍と大きな効果が出ています。
参照:プロセスマネジメントの実践で顧客対応迅速化や業務効率化につながったCRM/SFAの活用方法
プレコフーズ
プレコフーズは、CRMツールでPDCAを回し続けて、KPIの2.2倍の新規顧客1,300件を獲得しました。従来は担当営業のノウハウが属人化してスキルのばらつきがあったのです。
顧客情報や進捗状況、次のアクション、ノウハウなどが一元管理されたため、マネージャがCRMの情報から的確に指示できるようになり、各担当者のスキルも向上しました。
その結果、イベント後の成約率が前年比で80%増、売上は30%増を実現したのです。
参照:eセールスマネージャーを導入した株式会社プレコフーズ様の事例
CRM施策を成功に導くために必要なこと
ここからは、CRM施策を成功に導くために必要なことを解説していきます。
目的やビジョンを明確にしておく
CRM施策のステップでも解説しましたが、なんのためにCRM施策を行うか、その目的とビジョンを明確にしてください。
そのためにはまず、CRMを導入することが目的ではないことを念頭に置いておかければなりません。
目的やビジョンを明確にしないでCRMを導入しているケースも多く、CRMを活用しきれていない企業も見受けられます。
しかし、明確にビジョンを掲げていれば、個人が取るべき行動も明確になりプロジェクト全体の推進力が上がります。
また、目的を達成するのに足枷となってしまう課題を洗い出しておくことも大切です。
社内への理解や協力を仰ぐ
CRMを活用する現場に、CRMを導入することへの理解や協力を得る必要があります。現場が適切に利用しなければ、CRMを導入しても効果を期待できないからです。
CRMの導入目的や導入メリットを伝えて、企業や現場担当にとって利用価値が高いツールであることを認識してもらいます。
CRMを利用する営業部隊以外にも、CRMデータを活用する関連部署にも周知するべきです。また一方的な説明ではなく現場担当の意見を聞いて、企業が一体となっての取り組みが必要となります。
順序立てたスケジュールで導入する
目的やビジョンを明確にしたら、全体のスケジュールをたてていきます。
スケジュールがなければ手あたり次第の対応となり、抜け漏れや二度手間の作業、齟齬などが発生しやすくトラブルの原因となります。
担当部署だけではなく関連部署も含めたタスクも盛り込み、会社全体のスケジュールを導入することが重要です。
PDCAを回し続ける
CRM施策の検証結果をもとに、次の計画を立てて改善したCRM施策を実行していくことが大切です。
PDCAを繰り返すことで、最適なアプローチができてCRMの効果を発揮します。
即効性を期待してはいけない
CRMツールを導入して、すぐに効果は期待できません。
まず分析に必要なデータの蓄積には、時間がかかります。また、一度の施策で成功するわけではなく、分析・施策・検証・改善のPDCAを繰り返しすことで、CRMの効果が見えてきます。
CRMコンサルタントに相談する
CRM施策を成功するためには、綿密に計画・設計をたてることが重要です。社内の課題の抽出やKPIの設定などに不安がある場合は、プロのCRMコンサルタントに相談します。
また、社内のリソース面でCRMのプロジェクトを遂行するのが厳しい場合も、CRMコンサルタントは役立ちます。
CRMコンサルタントの仕事内容や必要なスキルについては、以下記事で解説していますので参考にしてください。
▼関連記事
CRMコンサルタントの仕事内容とは?必要なスキルや資格についても解説!
まとめ
CRM施策を成功に導くためには、目的を明確にした上で計画を立てて、PDCAを回し続けることが重要です。
これからCRMを導入する企業にとって、CRM施策を遂行するためにCRMコンサルタントを必要とします。
CRM市場は今後も成長すると予想されているため、仕事の需要がある分野です。
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