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2022.1.31
最新のBIツールを徹底比較!選び方や代表的なBIツール5選を紹介
ビジネスにおける意思決定や判断において、裏づけとなるデータ収集や視覚的な分析は必須です。昨今はBI(Business Intelligence)ツールの普及によって、多くの業界でビッグデータの解析を通じた新たな発見やインサイトをビジネスに生かしています。
しかし、これからBIツールを導入したいという企業や、これからBIツールを学びたいという人からは以下のような疑問の声が聞かれます。
- 自社にフィットしたBIツールを選ぶポイントを知りたい
- 代表的なBIツールの機能などの概要を知りたい
- BIツールが活用できる代表的な場面や選び方を知りたい
- BIツールの市場規模や今後の展望を知りたい
当記事では、BIツールの選び方や現在普及している代表的なBIツール、BIツールの活用場面や今後の展望まで網羅的にご紹介します。
企業がBIツールを選ぶポイント
多くの企業で導入が進むBIツールですが、選び方は各社さまざまです。ここでは企業がBIツールを選ぶ際に重視するポイントを解説します。
目的に叶っているか
BIツールはさまざまな機能があるため、出来る分析やアウトプットは多岐に渡ります。導入前には、BIツールを使ってどのようなことをしたいのかという目的をきちんと定め、その目的が達成できるかどうかを見極めるのが重要です。
例えばそれほどデータ量が多くない企業であれば、簡単な基礎分析を行ったり、可視化されたレポートを作ったりなどの作業はExcelで十分な場合もあります。
一方で、複雑な分析や見栄えの良いレポーティング機能を活用したい場合は、自社で作りたいアウトプットが出力できるBIツールかどうかを見極める必要があります。
契約形態や価格は適正か
BIツールは製品によって、「ユーザーライセンス型」と「サーバーライセンス型」の大きく2つの契約・価格体系に分けられます。
ユーザーライセンス型は、特定部署などBIツールの活用人数が限られている場合に適した契約です。逆にサーバーライセンス型は、大手企業などで複数部署にまたがってBIツールを活用する際に向いている契約です。
一般的にサーバーライセンス型が高額となり、ユーザーライセンス型が安価になる傾向があります。ただし、いずれの契約もデータ容量やライセンス人数で初期コストは変動することに加え、ランニングコストは月額1~10万が基本となります。
さらに最近は自社にオンプレミスで導入することなく、インターネットを介して利用することができるクラウド型のBIツールも市場に出回っています。
初期導入費用が掛からないケースが多いため、導入ハードルが低くすぐに利用を開始することができます。利用には月額料金が必要になり、使用量に応じて料金が増えるケースもあるため、事前にご確認ください。
導入前に「何人で(いくつの部署で)BIツールを使うか」や「どの程度のデータ量を扱うか」、「どの期間使用したいか」を確認した上で、トータルの価格が適正なBIツールと契約形態を選ぶようにしましょう。
自社で使いこなせるか
昨今のBIツールは種類が大幅に増え、操作性と分析レベルがツールによってさまざまです。そのため、誰がどのように活用するかをイメージした上で導入しなければなりません。
例えば営業部門など日常業務でデータの扱いに慣れていない人が多い部署で使う場合は、複雑な操作がないツールを選ぶようにしてください。
一方で、システム部門や経理部門など日常的にデータを使う部署で高度な分析が行いたい場合は、分析レベルの高いBIツールを選ぶ必要があります。
いずれのケースであっても、もし社内にデータ分析の専門人材がいない場合は、外部の専門家の力を借りるなど、BIツールの使い手もセットで検討することが必要となります。
おすすめBIツール5選
BIツールは機能や価格がさまざまですが、ここでは代表的なBIツールを5つ紹介します。どのツールが自社の求めているものに近いか、参考にしてください。
「Power BI」
出典:Power BI
マイクロソフトが開発したBIツールが「POWER BI」です。マイクロソフトの社内ではメールソフトよりも頻繁に使われていると言われます。
使い慣れたExcelのような操作感で簡単にデータ分析ができ、PowerPointのようなレポート作成、ブラウザやスマートフォンでの閲覧もできます。
クラウド上でデータ解析がスピーディーに行え、操作も簡易なため、BIツールを初めて導入する企業向けです。さらにマイクロソフトの製品だけあって、ExcelなどMicrosoft 365のアプリケーションとの連携がスムーズなのも特徴です。
料金はもっとも低価格な「Power BI Pro」で1ユーザーあたりの月額使用料1,090円と、手ごろな費用が魅力です。
参照:価格と製品の比較 | Microsoft Power BI
「Tableau」
Tableau(タブロー)は日本でも知名度の高いBIツールのひとつで、資生堂、NTTデータ、ヤフーなどの大企業で導入されています。
2019年6月にセールスフォース・ドットコム社がタブローソフトウェア社を買収し、Salesforceのプラットフォームや「Einstein」といったテクノロジーとの連携がよりスムーズになっています。
Tableau(タブロー)は、ビジュアル化機能が豊富なBIツールを使いたい企業向けです。一番の特徴は簡単な操作性で、データ解析のスペシャリストでなくとも簡単にダッシュボードが作成でき、資料やレポートの作成の効率が向上します。
料金は機能制限によって、1ユーザーあたり66,000〜112,200円(年額)程度です。閲覧ユーザー専用の料金もあるため、社内の活用部署に応じてプランが選べるのもポイントです。
「MotionBoard」
出典:データを集約・可視化 BIダッシュボード MotionBoard|ウイングアーク1st
東京に本社を構えるウイングアーク1st社が提供するMotionBoardは、国産のBIツールとして信頼が厚く、パナソニック、日立製作所、富士通などの企業で導入されています。
MotionBoardは定型帳票機能を重視する製造業などの企業や、IoTのデータを連携したい企業向けです。
マウス操作のみでダッシュボードが作成でき、専門知識が不要であるにもかかわらず、シミュレーション機能やレポート機能、加えてモバイルアプリを活用した独自の地図機能(訪問先データをマッピング、経路最適化など)やIoT製品のセンサー情報の連携が可能です。
料金は、初期費用110,000円+月額30,000円~です。
参照:価格 MotionBoardのライセンスと価格体系をご紹介します。
「Qlik Sense」
出典:Qlik Sense | 最新のクラウドアナリティクス
Qlik社が提供するQlik Senseは、専門性の高い分析ツールであったQlikViewより後発で発表されたモデルで、セルフBI寄りに大幅にシフトしたBIツールです。
AIや自動でのデータ関連性インデックス機能などが特徴で、データ探索に力を入れたい企業向けです。
Qlik Senseの最大の強みは、特許技術である「連想技術」です。この技術によって、複数の情報源から取り込んだ同じIDのデータを自動で関連づけて分析が行えます。従来外部の専門分析企業に依頼していたような複雑なデータ分析が、自社内で実施できるようになります。
料金は1ユーザーあたり月額30ドル(日本円:3,300円※)です。
参照:Qlik 価格 | Qlik Sense 全エディションの比較
※1ドル=110円として算出
「Looker」
出典:Looker
LookerはGoogle系列のツールだけあって、Google AnalyticsやGoogle広告とのデータ連携がクイックに実現できます。
大量のデータを分析したい企業や、事業規模が大きく大がかりなシステムが必要な企業向けです。
最大の特徴はデータ定義の管理・メンテナンスが行いやすい点です。同じ定義であれば1ヵ所変えると、それ以外の箇所やその定義に関係するすべての項目も即時反映されるようになっています。
Lookerは、ビジネスの規模に応じた料金プランとなっています。プランの内容、初期費用、月額料金などは公表されていないため、詳細についてはホームページ上で「見積もり。問い合わせ」を行ってください。
企業がBIツールを活用する場面
BIツールに興味を持ちながらも、社内のどのような部署や場面で活用できるのかが具体的にイメージしにくいという声も聞かれます。ここでは企業内でBIツールが使われる代表的な場面を紹介します。
経営支援
BIツールは、ビジネスの根幹となる経営そのものを分析することができるため、経営の意思決定支援に活用できます。
BIツールを導入することで、売上情報や財務状況などの経営分析結果をタイムリーに把握できるため、過去の分析のみならず今後の戦略立案面でもデータによる支援ができます。
多くのBIツールは分析やレポーティングなどのビジュアライゼーション効果があり、データに不慣れな経営陣にも読み取りやすいため、経営会議の場で活用されているケースもあります。
営業支援
直接収益を上げる営業部門は、売上データ分析が重要な業務となります。
BIツールを活用することで環境要因による変化を予測することができ、未来に向けてもより緻密な戦略を立てることが可能になります。
昨今は売上げだけでなく、属人化しがちな営業業務にもBIツールが活用されています。営業担当メンバーの行動データを蓄積して分析することで、売上の創出と組織体制の構築につなげられます。
マーケティング
マーケティング部門は商品の売れ筋商品や、時期的なトレンド、地理的な条件など、複数のデータを扱います。
これまでは複雑な分析は社内のシステム部門に依頼するケースが多かったのですが、BIツールを用いてクロス分析することなどで、「データ・ドリブン」なマーケティング施策を行う企業が増えています。
昨今は売上データ以外にデジタルマーケティング分野でも、サイト上のユーザーの行動履歴などのビックデータ解析にBIツールが活用されています。
BIツールを活用した事例についてやそもそもBIツールとは何かという点については、以下で詳しく解説しています。
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BIツールの展望
リサーチ会社のIDCジャパンによると、2020年の国内BDA(ビッグデータアナリティクス)/データ管理ソフトウェア市場予測は前年比6.8%増となり、市場規模は3,337億7,200万円に達しています。
さらに2020〜2025年のCAGR(Compound Average Growth Rate:年間平均成長率)は8.4%となり、2025年の市場規模は5,173億4,800万円になると予測されています。
今後も企業のDX進行によるデータ活用意識が今後も高まることや、分析に必要なデータ量の増大を考慮すると、分析のバリエーションが多く操作性が容易なBIツールの伸びが顕著になると思われます。
BIツールの市場の伸びに比例して、BIツールを扱え、データ分析やレポーティングができる人材も市場の伸びと比例してニーズは伸びると思われます。
社内にBIツールが活用できる人材がいない場合、データの変換や加工、データベースの構築は、エンジニアやITベンダーなどのIT専門家や専門のデータサイエンティストに依頼する動きも加速するでしょう。
まとめ
これまでは専門家であるデータサイエンティストの領域だったデータ解析が、BIツールの出現により、営業や経営企画など多くの部署で広がりつつあります。
BIツールが企業に普及した最大の理由のひとつが、簡便な操作性です。初歩的な分析であればデータの専門家でなくても実施できるのが魅力ではあるものの、凝った分析を行おうとすると社内にBIツールを使いこなせる人材がいない企業も多いのが実情です。
今後も市場は伸びる予測であるため、今からBIツールの操作を習得すれば転職や独立に有利になるでしょう。
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