業務・業界・技術

2022.1.31

RPAシナリオとは?作成方法や作成時のポイントを徹底解説!

コンサル募集

RPAを導入するにはRPAシナリオが必要不可欠ですが、RPAシナリオとは一体どういうものなのでしょうか。

RPAシナリオの概要と具体的な作成方法、作成時のポイントを分かりやすく解説します。

そもそもRPAとは

RPAとは「Robotic Process Automation」の略語で、ロボットによってPC上で行われる作業を自動化することを意味します。

定型化された業務をロボットに任せることによって、業務効率化によるコスト削減を実現可能です。詳細は以下の記事にて解説しています。

▼関連記事

RPAとは?注目される背景やメリット・デメリットをわかりやすく解説

RPAシナリオとは

RPAシナリオとは、自動化対象業務の流れ(作業手順)を可視化したものです。RPA運用のための、いわゆる「計画書」あるいは「作業手順書」のことを指します。

RPAシナリオを作成する理由は、自動化対象の業務を決めるだけではRPAを活用できないからです。

  • 特定業務のどの範囲をRPAに任せてどの範囲を人が実施するのか
  • RPAの処理途中でエラーが発生した場合はどのように対応するのか

上記のような設計を行わなければ、仮にRPAを導入しようとしても業務オペレーションの一部として組み込むことは難しいでしょう。

一方、上記のような設計が漏れなく実施されれば、自動化しなければならない作業や効果が明確になり、RPAの導入がスムーズに進むでしょう。

RPAシナリオの種類

RPAシナリオの作成方法には「簡易型」「開発型」の2種類があります。それぞれの特徴を解説します。

簡易型

簡易型であれば、プログラミング知識がなくてもRPAシナリオを作成可能です。

簡易型でもPCの基本的な操作を自動化できるため、非エンジニア職でプログラミング知識がない人がシナリオ作成を担当する場合は、簡易型シナリオがおすすめです。

ただし、簡易型の場合は複雑な操作を自動化することはできません。

開発型

開発型シナリオの場合、プログラミング知識が必要です。

デフォルトの動作に対して追加で必要な機能を組み合わせる場合や、外部ツールとの連携が必要となる場合など、複雑な操作を自動化可能です。

このようなシナリオ作成には、利用するRPAツールに対応するプログラミング知識が必要になるうえ、外部ツールの専門知識や連携に必要なプログラミング知識も必要です。

プログラミング知識がない人にとっては非常に難易度が高いため、RPAシナリオ作成担当者がプログラミング経験者の場合のみ、開発型シナリオがおすすめです。

RPAシナリオ作成時のポイント

RPAシナリオ作成時のポイントを5つご紹介します。

1.目的を明確にする

RPA導入によって解決したい目的・課題を明確にしましょう。まずは目標の削減時間や削減人数を具体化したり、自動化する業務範囲を明確にします

目的や課題が不明確なままシナリオを作成すると、不用意にスコープが広がってしまい、コストが余計に生じてしまったり、必要な事前情報が足りずに手戻りが発生したり、RPAの評価時にプロジェクトが成功したのか、まだ改善が必要なのかの評価がしづらくなったりします。

目的が明確になった後は、導入する部門内で共有することを忘れないようにしましょう。最終的な理想像について共通認識を持っているかどうかで、RPA導入への協力度合いが大きく変わります。

2.業務手順を抜け漏れなく洗い出す

RPAシナリオはロボットによる作業も含めた業務手順を可視化したものです。そのため、そもそも業務手順を洗い出さなければ、シナリオは作成できません。

とくに一連の業務における条件分岐は、すべて洗い出すことが重要です。分岐点をすべて洗い出せなければ、想定外の成果物が出来上がったり、スムーズな動作ができなかったりと、さまざまな障害が発生するからです。

しかし、どれだけ分岐点を網羅しようとしても想定外のエラーは発生します。

そのため、想定外のエラーが発生しているかをチェックする処理を設け、想定外のエラーが発生した場合は処理対象が特定できるようにログを出力したり業務担当者にメールを送信したりする工夫が必要です。

3.シナリオ実行環境を確認する

せっかく作ったシナリオでも、そのシナリオを安定的に実行できる環境が整っていなければ意味がありません。必ずシナリオ実行環境を確認するようにしましょう。

たとえば、データベース連携を行うシナリオを作成した場合、連携先のデータベースがRPAツールと連携しにくくないか、大量処理の負荷にデータベースが耐えられるかなどを確認する必要があります。

これは一般的なシステム開発の要件定義フェーズで定める「非機能要件(*1)」に含まれる検討事項です。

シナリオ作成担当者に開発経験がない場合は、想定シナリオをデータベース管理者にレビューしてもらい、現実的な設計になっているか確認しましょう。

*1:非機能要件とは、機能要件に含まれないすべての要件、あるいはユーザー(顧客)の潜在要件のことを指します。

4.小規模のシナリオから作成する

全社的に活用されるような大規模なRPA導入から企画するのではなく、まずは小さな成功体験を得ることが重要です。

大規模なRPAのシナリオは小さなRPAシナリオが組み合わさった集合体です。導入によるメリットとデメリットを実感するためにも、まずは小規模なシナリオ作りから始め、徐々にRPAを組織に浸透させていきましょう。

たとえば、「お客様に商品のレビューをしてもらう」という業務にRPAを導入するケースがあったとします。業務を中分類のプロセスに分けると、次のようになります。

  1. アンケート回収
  2. レポート作成
  3. レポート送付

この1〜3のプロセスをさらにもう一段階小さなプロセスに分けてみましょう。たとえば「1. アンケート回収」の場合は、次のようになります。

1.1 アンケート結果が添付されたメールを日付指定で開く

1.2 添付されたアンケートファイルをコピーする

1.3 コピーしたファイルを指定のフォルダに格納する

1.4 開いたメールを閉じる

1.5 1.1〜1.4を終了するまで繰り返し実行する

このシナリオの結果をまずは簡単に評価しましょう。成功したら、あとはその繰り返しと積み重ねです。

5.第三者に意見を仰ぐ

シナリオ作りを1人で行うと、プログラム化できずに困ってしまうなど非効率的な時間が発生する可能性があります。

そうならないためにも、第三者の意見を参考にしながらシナリオ作成に取り組みましょう。

第三者に意見を仰ぐことで自分では気づけない改善点を見つけられたり、良いアイディアが出てきたりと、より良いシナリオ作りが可能です。

なお、RPAのメリットデメリットについては、以下の記事で解説しています。

▼関連記事

RPAとは?注目される背景やメリット・デメリットをわかりやすく解説

RPAシナリオの作成方法・流れ

RPAシナリオ作成の具体的な流れをご紹介します。

シナリオ設計

まず、実際にシナリオ作成前の準備として設計から始めます。自動化の手順を可視化するイメージです。

現行業務における非効率な部分を削除しながら、実装方針を決めましょう。何を自動化し、何を人が行うのかを決められると、分岐があっても適切な処理を設計できます。

また、イレギュラーの検知方法やイレギュラー発生時の対応方法もこのタイミングで決めましょう。

シナリオ作成

シナリオ設計が完了したら、以下の流れでシナリオを実際に作成します。

①ノード(処理単位)を並べる

ノード(処理単位)を並べて自動化作業のフローを作成します。この際、処理内容、条件分岐、繰り返し、処理担当者なども設定します。

RPAツール上で作れるものもあるので、ツール選定時に確認すると良いでしょう。近年のRPAツールは、ドラッグ&ドロップで簡単にノードを並べられるものが多いです。

②例外処理を設定する

通常のフローとは異なる例外発生時の処理を細かく設定します。

具体的には、どの条件を満たす場合に自動化をストップさせるのか、または1つ処理を飛ばして自動化を続行させるのかなどを決めましょう。

この例外処理が漏れてしまうと、重大な事故に繋がる場合もあります。少なくとも例外を例外として検知できる仕組みは担保するように努めましょう。

シナリオテスト

シナリオ作成後は、実際にリリースする前のテストを行います。テストの流れは以下の通りです。

①単体テスト

1つの処理単位でテストを行うことを「単体テスト」と言います。

単体テストでは、ファイルを開く、ファイルを送信する、などの細かい処理ごとに動作を確認します。

②結合テスト

シナリオ全体が正常に動作するかテストすることを「結合テスト」と言います。一般的には単体テストが完了した後に行われます。

シナリオの一連の流れにおいて、繰り返し処理や条件分岐が想定通りに実行されるか、例外処理が想定通りの動きをするかなどを確認します。

③本番データテスト

実際の業務で使用されているデータを使用してテストを行います。

一般的には、本番データテスト前はテストデータを用意しており、テストデータを用いて単体テストや結合テストを行います。

しかし、テストデータでは発見できない不具合が見つかる場合もあるため、さまざまなタイプの本番データを用いてシナリオの一連の流れが正常に動作するかテストします。

④耐久テスト

処理時間が長かったり、データベースに強い負荷がかかったりする場合でも正常に動作するか確認するテストを行います。

ビジネスは成長と共に扱うデータ量が増えます。そのため、将来的に扱うデータ量が増えることも想定して耐久テストを行うことが重要です。

RPAシナリオ作成を外注する前に知っておきたいこと

RPAのシナリオ作成は外注が可能です。もし外注するのであれば、外注のメリットとデメリットを理解しておきましょう。

なお本稿をご覧の方の中には、仕事の発注者側としてではなく、これから受注者側としてRPAに関わりたいと考えている方もいるでしょう。

以下の記事にて、単価や案件獲得方法、RPA業界の将来についてもまとめております。あわせてご覧ください。

▼関連記事

RPA副業は稼げる?副業で稼ぐ方法と単価相場を紹介

RPAはフリーランスで稼げる?単価相場や案件の動向・必要なスキルや将来性を解説

メリット

RPAシナリオの作成を外注した場合、以下のメリットがあります。

  • シナリオ作成の人件費がかからない
  • RPAの専門知識が不要
  • 人材育成が不要

シナリオ作成にかかる人件費は、自動化対象の業務やシナリオ担当者のスキルに大きく依存するため、どれだけの人件費がかかるかはケースバイケースです。

しかし、どんなシナリオを作成するにしても必ず社内の人件費がかかるため、専門知識を持つ人がおらず、頻繁にRPAを運用する予定がないのであれば、外注する方が安くなるでしょう。

専門知識を持たない素人がシナリオを作成した場合、結局使えないシナリオができあがったり、そのシナリオを用いることで大きな業務トラブルが発生するリスクもあります。そのようなリスクも外注によって回避できます。

デメリット

RPAシナリオの作成を外注した場合、以下のデメリットがあります。

  • 外注費用がかかる
  • 自社にRPAのノウハウが溜まりにくい

外注するため、外注費用はかかります。先述の通り、人件費や社内育成・素人のシナリオによるリスクなどを考慮したうえで、どちらの方が費用対効果が高いのかを吟味すると良いでしょう。

後者の自社にノウハウが溜まらないデメリットについては、ベンダーとの連絡窓口を社内で一本化することで軽減できます。

窓口となった担当者が、ベンダーとのやり取りの中でRPA導入の進め方を学び、社内にノウハウとして蓄積・展開すれば良いからです。

まとめ

RPAシナリオの作成方法は、簡易型と開発型の大きく2種類があります。それぞれにはメリットとデメリットがありますが、市場価値が高いのは後者です。

現在RPAの導入を検討している方は、今後のご自身の市場価値・キャリア向上のためにも、ぜひとも開発型のシナリオ作成にチャレンジしてみてください。

RPAの専門知識を身に着けると、フリーランスや副業でRPAコンサルティングの案件に参画できるようになります。本業以外の収入源を確保したい方は、積極的に挑戦することをおすすめします。

なお、弊社Liberty NationではRPAコンサルティング案件の紹介をしています。また、RPA導入支援をはじめとしたさまざまなDX促進支援・コンサルティング案件も多数取り扱っています。

リモートワークや短日勤務など、可能な限りご希望の働き方にマッチする案件をご紹介しておりますので、ご興味のある方は以下のバナーよりご登録ください。

コンサル募集