コンサルキャリア
2021.10.13
業務改善コンサルティングとは?仕事内容や進め方、求められる能力を徹底解説!
これから業務改善コンサルタントを目指す方の中には、以下のような悩みを抱えている人は少なくないでしょう。
- 業務改善コンサルタントの具体的な仕事内容やその流れを知りたい
- 業務改善コンサルタントの需要がある理由を知りたい
- 業務改善コンサルタントに求められる能力が何か知りたい
業務改善コンサルタントを目指すのであれば、内定をもらうためだけでなく、就職・転職後のギャップを最小限に抑えるためにも当職を深く理解しておく必要があります。
そこで本稿では業務改善コンサルティングの仕事内容や進め方に加えて、コンサルタントに求められる能力を徹底的に解説します。
業務改善コンサルティングとは
業務改善コンサルティングとは、現行の業務フローを見直し、事業全体の生産性を高めるためのコンサルティングサービスです。
厳密なサポート内容は、業務改善コンサルティングサービスの提供企業や依頼主のニーズによって異なります。以下3つのいずれかがコンサルティングサービスのゴールとして設定されることが多いです。
- 現状整理:現行の業務プロセスを可視化
- 課題発見:理想状態と現状のギャップ・課題を提示
- 実行支援:理想の業務プロセスの提案および定着支援
このように現行の業務プロセスにおける課題発見までを請け負うケースもあれば、新しい業務プロセスを組織に定着させ、その効果検証までを請け負うケースもあります。
昨今では後者のような実行支援まで行うコンサルティング会社が増えているため、本稿では後者の業務領域について詳しく解説します。
業務改善コンサルティングの仕事内容
業務改善コンサルティングの仕事について詳しく解説します。
概要
以下のような業務が中心です。
業務概要 | 詳細 |
---|---|
業務プロセスの可視化 | 現行の業務プロセスを「業務一覧表」や「業務フロー図」などで可視化します。 |
業務量調査 | 各プロセスにおける業務量を調査します。業務量が多いプロセスは改善のインパクトが大きくなりやすいです。 |
業務課題の整理 | 現行の業務プロセスにおける課題を整理します。本質的な課題設定が行えなかった場合、プロジェクトが失敗に終わる可能性が高いため特に重要な業務です。 |
課題の根本原因やボトルネックの特定 | 現場社員へのインタビューなどを通じて、課題が発生している原因を特定します。 |
具体的な改善業務プロセスの提案 | 課題を解決できる新しい業務プロセスを提案します。 |
内外製判定 | 新しい業務プロセスの実現に向けて必要なツールがある場合、それを内製するか外製するか判断します。 |
プロセスの効果測定 | 新しい業務プロセスを運用に乗せた後、実際にどれだけの効果があったのか測定します。 |
サポート期間
業務改善コンサルティングのサポート期間は、3ヶ月単位の契約が一般的です。依頼主のニーズに合わせて期間を調整できることがほとんどですが、最短でも1ヶ月単位で契約することになります。
なお、業務改善コンサルタントに限らず、コンサルティング会社はプロジェクトの要件から必要なリソース(人月工数)を算出します。この際、要件が重ければ重いほど必要なリソースは増えるため、「期間を伸ばす」か「アサインするコンサルタントの人数を増やす」かのどちらかで対応することになります。
例:必要リソースが30人月の場合
アサイン人数 | サポート期間 |
---|---|
10人 | 3ヶ月 |
5人 | 6ヶ月 |
成果物(納品物)
業務改善コンサルティングのプロジェクトでは、以下のような成果物をクライアントに納品します。
納品物 | 詳細 |
---|---|
業務一覧表 | 現行の業務を一覧にまとめた表です。担当部署、担当者、業務カテゴリ、業務詳細などの項目でまとめます。 |
業務フロー図 | 各業務の流れをフローチャートで図解したものです。時系列順に誰が何を行うのかが整理されているため、読み手は現行の業務プロセスを俯瞰的に理解できます。 |
作業手順書 | 各業務の細かい作業の手順をまとめたものです。対象業務の着手〜完了までの工程を記述しているため、読み手は業務の詳細を理解できます。 |
作業マニュアル | 各業務の作業手順を図や表なども活用して分かりやすくまとめたものです。実際に対象業務を行う人がスムーズに新しい業務プロセスに移行できるように用意されることが多いです。 |
業務改善コンサルティングの進め方
業務改善コンサルティングは、大きく分けて以下の5つのステップを踏んで進められます。
それぞれのステップについて詳しく解説します。
ステップ1:事業の把握
まず、事業目的、事業戦略、重要指標(KGI/KPI)、事業関係者など事業全体を把握します。
キャッチアップする対象を改善対象業務だけに制限すると、事業拡大に直結しない課題、またはインパクトが小さい課題を解決しようとしてしまう危険性があるからです。
したがって多くの業務改善コンサルティングサービスでは、改善対象業務について調査する前に事業全体の把握に努めます。
ステップ2:業務フローの把握
事業全体の把握が終わったら、現行の業務フローを整理します。
- 事業全体の業務フローを把握
- 各業務フローの詳細を把握
上記のように業務の大枠を把握するところから始め、段階的に業務の詳細を把握します。
業務の大枠を把握する具体的な方法は、以下のようなものが挙げられます。
- 共有された業務オペレーションなどに関する資料からインプットする
- お客様先に常駐し、実業務を体験または現場で観察する
ステップ3:現行業務フローの課題抽出
次に、現行の業務フローにおける問題や課題を抽出します。
このステップでは、クライアントの社内資料を閲覧したり現場社員にインタビューしたりするなどして、より正確な現行業務フローの課題発見に努めます。
ステップ4:新業務フローの作成
ステップ3で抽出した課題を解決するために新しい業務フローを作成し、現行の業務フローと置き換えます。
この際、作業手順書や作業マニュアルなどを作成して新しい業務フローを定着させるためのサポートも行います。
ステップ5:効果測定
新しい業務フローに置き換えた結果、どのような効果を得られたのか測定します。
新しい業務フローを作成したタイミングで、どの工程においてどれだけのコスト削減が見込まれるかなどの試算が行われています。
したがって、その試算値を基準に想定通りの成果を出せたのか、また考慮漏れによる想定外のコストが発生していないかなどを確認します。
業務改善コンサルタントに必要な能力とは
業務改善コンサルタントに必要な能力は大きく分けて以下の4つです。それぞれ詳しく解説します。
- ITやプロジェクトマネジメントに関する専門知識
- 事業・業務に関する専門知識
- コミュニケーション能力
- ロジカルシンキング
ITやプロジェクトマネジメントに関する専門知識
業務改善コンサルタントには、ITやプロジェクトマネジメントに関する豊富な知識が求められます。
昨今、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の必要性が叫ばれていることもあり、業務改善の現場では「ITの活用」が必須になっていると言っても過言ではありません。
そのため、業務改善コンサルタントもITコンサルタントと同様にITに関する専門知識が求められる傾向にあります。
また、プロジェクトマネジメントに関する能力も必須スキルと言えます。業務改善コンサルティングのような大規模なプロジェクトを任される場合は、PMBOK(Project Management Body of Knowledge)に則って以下のプロセス群に切り分けてプロジェクトマネジメントを遂行する傾向にあります。
- 立ち上げ
- 計画
- 実行
- 監視・コントロール
- 終結
PMBOKの資格が必須というわけではありませんが、プロジェクトマネジメントの経験がない人は勉強しておいて損はありません。
事業・業務に関する専門知識
業務改善コンサルタントには、事業や業務固有の高い専門知識が要求されます。なぜなら、業務改善コンサルタントが相談を受け、診断・助言・指導を行う相手は「その業務の専門家」だからです。
例えば、経理業務の改善を任されている場合、クライアントの経理担当者と直接会話する必要があります。この際、経理担当者が話す会計に関する専門用語を理解していなければ、コミュニケーションがスムーズに行われず、最悪の場合はクライアントからの信頼問題に発展します。
そのため、業務改善コンサルタントはクライアントの事業や業務に関する専門知識を身につけておく必要があります。
コミュニケーション能力
業務改善に取り組む上では、高いコミュニケーション能力が必要不可欠です。クリティカルな問題点のヒアリングや新しい業務フローへの抵抗を抑制するには、クライアントの従業員と密なコミュニケーションを取る必要があるからです。
逆にコミュニケーション能力が低いと、クライアントの従業員から本質的な情報を得られず、誤った課題設定をしてしまう可能性があります。
論理的思考能力や専門知識が強く求められているため、相対的に見てコミュニケーション能力を軽視してしまう人がいますが、プロジェクトの成否を分ける重要な能力であることを忘れないようにしましょう。
ロジカルシンキング
業務改善コンサルタントは、常に高い論理的思考(ロジカルシンキング)能力が求められます。具体的には、以下のようなタイミングで論理的思考能力が必要です。
- 適切な課題抽出
- 効果的な解決策の提示
- 顧客の説得
事象を構造的に捉え、適切な課題を抽出しなければROI(費用対効果)を最大化することはできません。また、論理的に施策の目的や背景などを伝えられなければ、顧客を説得することができず、プロジェクトを思うように進められません。
ロジカルシンキングは、訓練次第で後天的に身につけられる能力です。もし、論理的に物事を考えることに苦手意識を持っている人は、ロジカルシンキングに関する書籍を読み、現在の仕事で実践的に取り入れていくことをおすすめします。
業務改善コンサルタントに関するよくある質問
業務改善コンサルタントを目指すにあたって、多くの人が気になるポイントをまとめました。
Q.資格は必要ですか?
A.必要な資格はありません。
ただし「必須ではない」というだけで、公認会計士・簿記など会計関連の資格や中小企業診断士、IT関連の資格などは転職や実際の業務で非常に役に立ちます。そのため、そういった資格をあらかじめ取得しておくと現場で評価されやすくなるでしょう。
Q.未経験者でもなれますか?
A.はい、未経験者でも業務改善コンサルタントになれます。
ただし「業務改善コンサルタントに必要な能力とは」で説明した通り、IT関連の知識や業務プロセスへの理解、コミュニケーション能力など、幅広い能力が必要です。
第二新卒でコンサルティング会社に就職する場合は「ポテンシャル採用」のため、専門知識の有無については評価の比重がそこまで高くありません。
しかし中途採用の場合は、何かしらの領域において高い専門性を持っていなければ採用されにくいでしょう。
したがって、未経験者が業務改善コンサルタントへ転職を目指すのであれば、少なくとも現職の業務領域において高い専門性を身につけておくことをおすすめします。
Q.SE出身でもなれますか?
A.SE出身者でも業務改善コンサルタントになれます。
むしろSE出身者であれば、IT関連の豊富な知見を活用できるためアドバンテージになりやすいです。
まとめ
業務改善コンサルティングとは、業務フローを改善し、事業全体の生産性を高めるためのコンサルティングサービスです。
その業務領域は非常に広く、多種多様な専門知識を求められるため、非常に難しい職業であることは間違いありません。しかし、多くの企業から強く求められている存在であり、努力次第では未経験からでもなれる職業でもあります。
これから業務改善コンサルティングを目指す人は、決してその高い壁を見て諦めるのではなく、地道にコツコツと研鑽を重ね、アグレッシブにその機会を掴み取ってください。
なお本稿を執筆しているLiberty Nationでは、業務改善コンサルタントを積極的に募集しています。これまでの専門性や経験を生かして、第三者的な立場からクライアントの業務改善を支援したいと考えている方は、ぜひ以下のURLから応募してください。
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