コンサルキャリア
2021.10.13
ITコンサルタントの平均年収は?仕事内容や求められるスキルを分かりやすく解説!
これからITコンサルタントになることも視野に入れて転職活動をしている人であれば、ITコンサルタントの平均年収やその仕事内容は気になるポイントでしょう。
「ITコンサルタント」と言えば、ITに関する専門知識を有したプロフェッショナルであり、時代の潮流に乗った需要のある職業のため年収が高いというイメージが強いのではないでしょうか。
果たして実態はどうなっているのでしょうか。また、ITコンサルタントの仕事内容や求められるスキルはどのようなものなのでしょうか。
本稿では、そういった悩みを解決できるように分かりやすく解説します。
ITコンサルタントの平均年収
弊社Liberty Nationに登録しているITコンサルタントの平均年収は、おおよそ2,000万円です。月単価ベースで100~350万円となっています。
国税庁による令和元年分の「民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均給与は436万円でした。したがって、弊社Liberty Nationに登録しているITコンサルタントの平均年収は、給与所得者全体の平均年収よりも約4~5倍ほどの水準であることが分かります。
※ただし、弊社Liberty Nationに登録しているITコンサルタントはフリーランスであり、給与所得者ではありません。フリーランスのコンサルタントは「事業所得」として報酬を得ているため、給与所得者とは可処分所得の計算がやや異なる点に注意が必要です。
ここでは、経済産業省や民間企業によるITコンサルタントの平均年収を紹介します。
経済産業省発表の平均年収
2017年に実施された経済産業省による「IT関連産業の給与等に関する実態調査」によると、ITコンサルタントの平均年収は928.5万円であることが分かりました。
◆IT関連産業における給与水準の実態〜職種別
職種名 | 平均年収(万円) |
---|---|
コンサルタント | 928.5 |
プロジェクトマネージャー | 891.5 |
プロデューサー/ディレクター | 792.9 |
営業/マーケティング | 783.3 |
高度SE/ITエンジニア | 778.2 |
※参考:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査」P.6
IT関連産業において平均年収が900万円を超えている職種は「コンサルタント」のみであることから、その市場価値の高さやクライアントからの期待の大きさがわかります。
なお一口に「コンサルタント」と言っても、相対的に報酬単価の低い「SNSマーケティング」や「SEOマーケティング」などの領域で活動するコンサルタントもいれば、百名単位人員を抱える業務部門の働き方改革やコスト削減に関わる「RPA」や「ERP」など億単位の金額が動きやすい領域で活動するコンサルタントもいます。
そのため、同調査では「コンサルタント」と一括りにされていますが、コンサルティング領域や個人の能力、経営戦略上の重要度によって報酬が大きく変動する可能性があるということは覚えておきましょう。
スキル標準レベル別の平均年収
同調査対象者のスキルレベルを7段階に分け、それぞれの平均年収を算出した結果は以下の通りです。
スキル標準レベル | レベル説明 | 平均年収(万円) |
---|---|---|
レベル1 | 新人・初級者レベル/仕事に慣れ始めたレベル | 437.8 |
レベル2 | 上位者の指導のもとに仕事ができる若手人材レベル | 499.2 |
レベル3 | 独立して仕事ができる中堅人材レベル | 576.0 |
レベル4 | 部下を指導できるチームリーダーレベル | 726.1 |
レベル5 | 社内での指導者・幹部レベル | 937.8 |
レベル6 | 国内で著名なレベル | 1129.9 |
レベル7 | 国際的に著名なレベル | 1129.9 |
※参考:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査」P.7スキル標準レベル
スキル標準レベル1~3までの平均年収の上昇幅はあまり高いとは言えませんが、レベル3以降の上昇幅は非常に高く、1レベルごとに150万円以上も平均年収が増加しています。
また、給与所得者全体の平均年収が436万円であるにもかかわらず、IT関連産業のコンサルタントはスキル標準レベル1でもその水準を上回っていることから、IT関連産業のコンサルタントの年収がいかに高水準であるかが分かります。
コンサルティングファームでの役職別年収水準
コンサルティング業界への転職支援に特化した「Movin’ Strategic Career」によると、役職別の年収水準は以下の通りです。
役職名 | 実務経験年数(年) | 年収水準(万円) |
---|---|---|
コンサルタント | 0~3 | 500~700 |
シニアコンサルタント | 0~6 | 700~900 |
マネージャー | 2~10 | 900~1,400 |
シニアマネージャー | 5~15 | 1,300~1,800 |
パートナー | 7~ | 2,000~ |
※参考:Movin’ Strategic Career「ITコンサルタントの年収・給与・報酬」
コンサルティングファームでITコンサルタントとして従事する場合、上記のような年収水準で推移します。
弊社Liberty Nationの水準と比較すると非常に低い傾向にありますが、「フリーランスコンサルタント」と「会社員コンサルタント」という立場の違いから生まれる差分と予想されます。
その他民間企業による調査結果
経済産業省以外の民間企業による平均年収の調査結果は以下の通りです。
調査元 | ITコンサルタントの平均年収 |
---|---|
求人ボックス 給料ナビ | 647万円 |
平均年収.jp | 610万円 |
参考:平均年収.jp「itコンサルタントの平均年収」
参考:求人ボックス 給料ナビ「ITコンサルタントの仕事の年収・時給・給料情報」
ご覧の通り、経済産業省や弊社Liberty NationのITコンサルタントの平均年収よりも低い値になっています。
これはサンプル対象の違いから生まれる差分と予想されます。
- コンサルティング対象領域
- 所得区分(給与所得 or 事業所得)
- 実務経験年数
- スキル標準レベル
上記のようなセグメントにおいて比率がまったく異なるサンプルで平均年収を算出すれば、当然平均年収に大きな差が生まれます。
特に転職支援サイトなどが算出している平均年収は、「掲載求人の平均年収」の場合があります。サイトによっては平均年収のサンプルデータが「第二新卒向けの求人」に特化していることもあり、本当にその企業の平均年収と言えるかは残念ながら怪しいです。
このように、平均年収を調査する場合は、調査対象の属性や特徴を理解した上で参考にするように注意が必要です。
ITコンサルタントの年収が高い理由
ITコンサルタントの年収が高い理由は以下の3つです。それぞれを解説します。
- 経営に多大な影響を与えるため
- 「昇進するか去れ」の文化があるため
- 優秀な人材を確保するため
経営に多大な影響を与えるため
ITコンサルタントによって導入または改善されたシステムは、経営に大きな影響を与えます。その影響の大きさ、責任の重大さからITコンサルタントの年収は高く設定されています。
昨今、業務システムを活用せずに事業を拡大している企業はほとんどありません。業務システムを導入しているからこそ、これまでの利益を生み出せたという企業がほとんどでしょう。
裏を返せば、その業務システムをリプレイス(新旧入れ替え)したり新たに導入したりすれば、これまでの業務様式が大きく変わるため経営に多大な影響を与えやすいです。
そのため、ITコンサルタントによる施策がプラスに働けば「売上の増加」や「コスト削減」といった恩恵を多分に受けられます。
一方で施策がマイナスに働いた場合、ITコンサルタントの高い人件費だけでなく、施策実現のために導入したシステム費用などがすべて無駄となり、クライアントに大きな損失を与える可能性があります。
その恩恵または損失は、その他の職種と比較して遥かに大きい傾向にあるため、ITコンサルタントの年収は相対的に高く設定されています。
「昇進するか去れ」の文化があるため
外資系のコンサルティングファームに顕著ですが、ITコンサルタントの職場の多くは「Up or Out(昇進するか去れ)」という文化があります。
これは文字通り「昇進しない、または成果を出せない人は退職しなさい」という意味で、この文化があるためコンサルティングファームには優秀な高年収の人ばかりが残りやすくなっています。
また、昇進スピードは日本企業と比較して早いため、20代で年収1,000万円を超える人も珍しくありません。
このような圧倒的な成果主義の職場環境が、ITコンサルタントの年収を高くしている理由の一つと言えるでしょう。
優秀な人材を確保するため
高いITスキルとビジネススキルを持つITコンサルタントは引く手数多です。そのため、優秀な人材を確保するために高い年収でオファーを出しているところが多いです。
ITコンサルタントが人材市場で引く手数多となっているのは、需要に対して供給が不足しているからです。
年々加速するITサービスの多様化によって、IT人材に求められる必要知識の”広さ”と”深さ”がどんどん増していく一方で、日本国内においては少子高齢化による労働人口の減少が顕著です。
その少ない労働人口の中でも、IT領域の専門性を身につけている人材は一層限られています。IT人材の需要は拡大しているものの、供給の拡大がそれに追いついていない状態です。
具体的には、今後のIT人材需要の伸び率別に以下の数だけIT人材が不足すると言われています。
需要の伸び率(%) | 2030年時点 IT人材不足数(万人) |
---|---|
1 | 16 |
2~5 | 45 |
3~9 | 79 |
※参考:経済産業省「IT人材需給に関する調査」P.23
このような需給バランスが続いているため、企業は優秀な人材を確保すべく、今後もITコンサルタントの待遇を良くし続けることが予想されます。
ITコンサルタントの仕事内容
ITコンサルタントの仕事は、IT戦略の立案や業務オペレーションの見直し、既存システムから新システムへのリプレイスなど多岐に渡ります。これらの仕事をフェーズに分けると、以下の3つの仕事に大別できます。
- 課題発見(ヒアリング・分析)
- 課題解決の提案
- プロジェクトマネジメント
課題発見(ヒアリング・分析)
クライアントの事業や業務における課題を発見するための作業を行います。具体的には、以下のような業務を行います。
- 経営者や部門責任者から経営/事業戦略をヒアリング
- 導入済みシステムのユーザーにインタビュー
- 業務フローの整理
- 導入済みシステムの仕様理解
- 課題抽出
これらの業務によってAs-Is(現状)とTo-Be(あるべき姿/理想状態)、そしてその課題(ギャップ)を明確にします。
課題解決の提案
課題解決に最適なITを活用したソリューションを提案します。
この際、なぜその解決策が妥当なのかを論理的に説明できるプレゼンテーション能力や、プレゼンテーション前に提案のボトルネックを解消するコミュニケーション能力などが求められます。
プロジェクトマネジメント
提案内容を実現するためのプロジェクトを立ち上げ、マネジメントを行います。
マネジメントのスコープはプロジェクトによって大きく異なり、開発業務や新しい業務フローの現場定着化までスコープに含まれるケースもあります。
ITコンサルタントに求められるスキル
ITコンサルタントに求められるスキルは、大きく分けて以下の4つです。
- ITに関する専門知識
- 論理的思考能力
- コミュニケーション能力
- マネジメント能力
ITに関する専門知識
従事する案件によって大きく異なりますが、以下のような専門知識を求められます。
- システム開発に必要なプログラミング知識
- 各種ハード/ソフトウェアに関する専門知識
- 各種サービスに関する専門知識
etc…
ITコンサルタントとして雇ってもらいたい場合は、どの言語・フレームワーク・サービスの専門知識を有しているかを経験年数や実務内容でアピールする必要があります。
未経験者の方で何をどう勉強すれば良いか分からない場合は、ITコンサルタントへの転職を成功させている人や、フリーランスとしてITコンサルタントをしている人の職務経歴書(またはITコンサルタントを募集している企業の募集要件)を読むと具体的なイメージが湧きやすいです。
論理的思考能力
課題選定から課題解決の策定に至るまで、すべてのプロセスにおいて論理的でなければクライアントに提案を通すことができません。
仮にクライアントへの提案を自分で行わない(上司が行う)場合でも、業務システムの改善作業において高い論理的思考能力が求められるため、どんな役割でもITコンサルタントに論理的思考能力は必須と言えます。
なお、論理的思考能力は訓練で身につけられます。「理系出身者でなければいけない」という固定観念を持っている人も多いですが、決してそのようなことはありません。
論理的思考能力に不安がある方は、論理的思考能力を鍛える書籍を読んだりグロービスのセミナーに参加したりすると良いでしょう。
コミュニケーション能力
ITコンサルタントは、「課題発見」「提案」「プロジェクトマネジメント」など、すべてのフェーズにおいて高いコミュニケーション能力が求められます。
ITコンサルタントが取り扱う対象は「システムのみ」というイメージが強いかもしれませんが、結局そのシステムを使うのは「ユーザー(人)」です。
ユーザーへの寄り添いやユーザーの真意を汲み取れるコミュニケーション能力がなければ、本当の意味で価値のあるソリューションを提供できません。
したがって、ITや論理的思考能力、プロジェクトマネジメントに関する高い専門性だけでなく、良好な対人関係を築く能力がプロジェクトの成否を左右することも忘れないようにしましょう。
マネジメント能力
ITコンサルタントにとって、マネジメント能力は非常に重要なスキルです。
マネジメント能力が欠けていると納期通りにプロジェクトを推進できず、クライアントからの信頼を失うからです。
ITコンサルティングのように取り扱うプロジェクトが大規模の場合、PMBOK(Project Management Body of Knowledge)に則ってプロジェクトマネジメントを遂行するケースが多いです。
PMBOKは1987年にアメリカに拠点を置くPMI(Project Management Institute)が策定したプロジェクトマネジメントの世界標準(事実上の標準)です。PMBOKを体系的に学ぶ場合、PMIが主催するPMP試験の受験をお勧めします。プロジェクトマネジメントに関する一定水準のスキルを有することをPMIが認定する世界的な資格なので、保有することで自らのマネジメント能力を証明する手助けとなります。
ITコンサルタントになるメリット
高い能力を求められるITコンサルタントですが、その分だけ大きなメリットがあります。代表的なメリットを3つご紹介します。
- 高収入を得られる
- 潰しのきくスキルが身に付く
- 実は敷居が高くない
高収入を得られる
冒頭でもお伝えした通り、ITコンサルタントの平均年収は日本全体の給与所得者の平均年収と比較すると非常に高いです。
スキル標準レベルが1でも日本全体の給与所得者の平均年収を上回り、フリーランスのITコンサルタントになれば年収2,000万円も珍しくありません。
弁護士や医師も年収ランキング上位ですが、ITコンサルタントはそれらの職業に比べて「就職難易度」は低いです。高い学費も長い学習期間も不要です。
そのため、生涯収支で計算しても非常にコストパフォーマンスが高い職業と言えるでしょう。
潰しのきくスキルが身に付く
ITコンサルタントとして従事すれば、豊富なポータブルスキルが身につきます。
そのため、コンサルタントを辞めることになっても、事業会社への転職やフリーランスコンサルタントとして生計を立てることも比較的容易です。
また、2030年まではほぼ間違いなくIT人材の供給が不足するため、仕事がなくて困ることはないと言っても過言ではありません。
実は敷居が高くない
ITコンサルタントと聞くと「理系出身者だけがなれる職業」というイメージが強い人もいるかもしれません。
しかし実際は、文系出身者が社会人になってから勉強しても十分に活躍できる職業です。もちろん転職前後はハードな勉強が必要ですが、それでも先に挙げたような弁護士や医師と比べれば必要な勉強量は非常に少ないです。
したがって、一定以上の勉強意欲や成長意欲がある人であれば比較的なりやすい職業であることは間違いありません。
まとめ
ITコンサルタントの平均年収は928万円と非常に高い割に、敷居の高い職業ではないことがお分かりいただけたことでしょう。
一度ITコンサルタントとして働いて他組織でも通用する能力を身につけてしまえば、フリーランスとして活動し、さらに高い年収を手にすることも比較的簡単な職業です。
もし、一般的なコンサルタントよりも高い年収を手に入れたいと考えているのであれば、ぜひフリーランスのコンサルタントとして活動することをおすすめします。
なお、弊社Liberty Nationでは、フリーランスのITコンサルタントを積極的に募集しています。フリーランスのコンサルタントになりたい方、ITコンサルタントとしての実力をさらに高めたい方はぜひ以下のURLより応募してください。
ITコンサルタント募集フォーム