コンサルキャリア
2021.10.13
コンサルタントが独立で失敗する9つの理由!成功の秘訣・独立前に準備すべきことは?
会社員コンサルタントとして働いていると「独立した方が年収が上がるのではないか」「独立して自由に案件を選んだ方が自分の強みを存分に活かせるのではないか」と独立を考えるタイミングがあるでしょう。
そこで本稿ではこれからコンサルタントとして独立を検討している人のために、独立後に失敗してしまう9つのケースと成功の秘訣、独立前に準備すべきことを分かりやすく解説します。
コンサルタントが独立後に失敗する9つの理由
コンサルタントが独立した後、想定通り収益を上げられない原因を9つご紹介します。
Vision・Mission・Valueが不明確
自身の専門性が低い
強みが分かりにくい
過度な多角経営
マーケティング戦略が不十分
過度な安売り・高売り
定期顧問契約数を増やせていない
期待値調整ができていない
ポジショニングを間違えてしまう
1.Vision・Mission・Valueが不明確
個人においても組織においても、事業は社会的な正当性とその方針が確立されているべきです。そのためにまずはVision・Mission・Valueを明確にします。
項目
説明
Vision
将来のあるべき姿・ありたい姿
Mission
使命・目的・存在意義
Value
具体的な指針・価値基準
この3点がすべての意思決定の基礎となり、事業戦略を描く際の基盤となります。
仮にVision・Mission・Valueが存在しないまま事業戦略を立て、収益を上げられたとしても、それは一時の成功で終わってしまい兼ねません。
2.自身の専門性が低い
自身の専門性を磨き続けなければ、競争に取り残されてしまいます。自身よりも専門性の高い人に仕事を奪われたり、案件からリリースされるリスクとなります。また、そもそも案件に参画させてもらえないリスクも高くなります。
クライアントのニーズは常に変化します。そのため、求められる専門性も時代とともに変化しています。クライアントがどんな領域でどんな課題を抱えているのか、ペインやニーズに関する情報を継続的に収集し、自身の専門性をアジャストすることが必要です。
クライアントにニーズがある専門分野を把握する具体的な方法は以下の通りです。
定期的にコンサルティングファーム時代の同僚や転職エージェントと情報交換をする
ビジネス専門の情報媒体を常にウォッチする
どんな形でも参画できる案件に積極的に応募し、現場でクライアントから直接情報を得る
1)は情報漏洩や秘守義務違反を危惧して有益な情報が得られない可能性がありますが、業界動向や特定領域における課題を知る糸口にはなるでしょう。
2)は1.と比べ情報の鮮度が低くなりますが、マーケットのトレンドを把握したり、ボリュームゾーンのニーズを取集するのに有効です。
最もおすすめの方法は3)です。実際に案件に携わることで、コンサルティングサービスを利用する企業の課題や期待値をクライアントの中の視点で把握することができます。時には、クライアントからの叱咤激励が自身の専門性を高める動機にもなります。
時代の流れや技術革新によって企業課題は日々変化するため、専門性の追及やスキルアップには終わりがありません。常にクライアントの期待に応え、課題を解決できるパートナーであり続けるためにも、自身の専門性を磨き続ける努力がコンサルタントには必要です。
3.強みが分かりにくい
多く案件を獲得したいという理由で「何でもできます」と謳って集客してしまうケースが独立して間もないフリーランスコンサルタントに散見されますが、顧客が求めているのは「何でも屋」ではなく「特定ニーズを解決してくれる人」です。
例として、以下の2つのキャッチコピーをご覧ください。
業務改革プロジェクト実績100社超え!業務改善特化型コンサルタント
コンサル実績10年以上!事業課題の解決ならなんでもお任せください。
前者は業務改革に強いコンサルタントであることが分かりますが、後者はどんな課題を解決できるのか、どんなノウハウを持っているのかが分かりにくいです。
マーケティングの中でも「ターゲティング」は非常に重要な工程の1つと言われており、自社商材の具体的なペルソナ(架空の人物)を立てて、そのペルソナが持っている課題を解決できることを訴求する方が成果が出やすいです。
したがって、自身の強みを生かすことができる、慣れ親しんだ業界、得意なマネジメントレイヤー、専門性のあるテクノロジー領域で堅実に実績を積み上げていくことがフリーランスコンサルタントとして成功するための近道です。
4.過度な多角経営
利用可能なリソースが限られている中、コンサルティング領域を過度に広げてはいけません。十分なリソースを確保した上で多角化する場合を除いて、1領域あたりの専門性の低下や対応可能範囲の減少による収益減のリスクが高まるからです。
オーストリアの経営学者であるピーター・ファーディナンド・ドラッカーが「選択と集中」と提唱しているように、「強みの強化」と「コスト削減」こそが、利益を拡大するために効果的と言えます。
以上のことから、リソースが不十分な状態で過度に専門領域を広げようとすることを控え、自身の事業戦略に適う案件で着実に成果をあげていきましょう。
5.マーケティング戦略が不十分
マーケティング戦略が不十分だと、収益を安定化できません。
上図のように自社顧客を潜在層から顕在層までファネル分解し、それぞれに対して有効なマーケティング施策を打ち出す必要があります。
とくに独立直後は、新規顧客の獲得と既存顧客への対応に追われがちになりますが、安定した経営を行うためには全ファネルへの対応が必要不可欠です。
将来的な収益化計画を早期に立て、リピーターを増やすための施策や潜在層への認知獲得施策を徐々に実行するようにしましょう。
6.過度な安売り・高売り
過度な安売りや高売りは、経営において以下のような悪影響を引き起こします。
品質に対する不信感をユーザーに与えてしまい、集客が鈍化する
品質に対する満足感はあるが、高すぎてリピートの意思決定ができない
サービスに対して適切な値付けができるよう、競合調査を怠らないようにしましょう。
7.定期顧問契約数を増やせていない
定期顧問契約数を増やした分だけ、顧客の流出リスクを抑えられます。また、定期顧問契約数を増やせない限り、常に新規顧客を獲得し続ける必要があるため事業をスケールさせるための工数を担保しづらくなります。
コンサルティング業界以外の定期顧問契約のサービス例としては「顧問弁護士」が挙げられます。弁護士が自身の名前を貸すだけのサービスの場合、月額費用は1,000〜3,000円と安価ですが、契約時のみの対応で継続的に収入を得られるため収益性がアップします。
また、経営コンサルティングの顧問契約の例もご覧ください。
定額報酬型:月額20~50万円程度(月に1〜2回の訪問)
時間契約型:1時間あたり5,000円~10万円程度
出典:経営コンサルタントの費用相場とは?契約別の費用感を比較 | 顧問バンク(旧サービス名称)
上記のような顧問契約を独立後に作れるかどうかで、事業が安定的に線形の成長を遂げられるかが決まります。
8.期待値調整ができていない
適切に期待値調整ができていないと、案件を獲得した後に以下のようなデメリットがあります。
契約を更新してもらえない
悪い噂を流される(ディブランディング)
メンタルヘルスの悪化
コンサルタントは自身が商品です。商品を売れやすくするため、自身のスキルを多少盛って売り込む人は少なくありません。多少のストレッチは成長を促し、顧客にとっても自身にとってもプラスになりますが、過度なストレッチは両者にとってマイナスです。
9.ポジショニングを間違えてしまう
スキルの軸となるポジション(専門領域)を間違えると収益が安定しません。
いくら専門性が高くても、需要が小さい分野で勝負するのは賭けになります。将来の成長性が期待できる大きな市場にポジションを取って勝負するのがフリーランスコンサルタントが収益を安定させやすくする方法のひとつです。
現代はIT系の案件が豊富にあるため、IT領域の専門性を高めることに注力することをおすすめします。
コンサルタントが独立後に注意したい2つのポイント
コンサルタントが独立を成功させるための2つのポイントをご紹介します。
案件獲得の手段を複数確保する
案件獲得にはさまざまな方法がありますが、どれか1つの方法に依存するのは避けましょう。
たとえば、紹介だけに頼っていると紹介が途切れた際に収入がなくなります。また、SNSやホームページ上の集客だけでは引き合いが増えるまで案件数を担保できません。
したがって、以下の集客経路の中から複数の手段を普段から活用することをおすすめします。
マッチングサービス
クラウドソーシング
ブログ・自社HP
SNS(Twitter、Instagram、YouTube)
セミナー
DM
緊急性が高い場合は、マッチングサービスの利用が最も有効です。近年はデジタル化の普及とその対応に伴いコンサルタントの需要は常にあるため、マッチングサービスを活用してコンサルタントの採用を行っている企業は多いです。
弊社Liberty Nationもコンサルティング案件とコンサルタントのマッチングを支援しています。案件獲得にお困りの方は、ぜひ一度こちらからお問い合わせください。
特定の案件やクライアントに依存しない
案件獲得の手段と同様に、収入源も特定の案件やクライアントに依存していては危険です。可能な限り複数持っている状態を常に維持しましょう。
複数案件を維持するコツは「稼働管理」です。当たり前のことのように感じますが、意識していなければ参画中のプロジェクトが終了するまで時間が取れず、次の案件を探せていないといった状況に陥るケースが散見されます。
プロジェクト期間と案件獲得期間の両方を加味した上で、計画通りの収入が得られるよう稼働管理を行いましょう。
コンサルタントが独立前に準備すべき3つのこと
コンサルタントとして独立する前に準備しておくべきことを3つご紹介します。
多様な人脈形成
コンサルタントとして独立した後、案件獲得やリソース確保のために活用できる人脈を形成しておきましょう。
会社員コンサルタント時代の同僚や先輩との関係性は、薄れてしまわないように定期的に連絡を取りましょう。加えて、勉強会やセミナーなどにも積極的に足を運んで人脈を形成し、コンサルティング業界含めた各業界の情報収集を行ってください。
スキルの向上
以下のようなスキルは磨いておきましょう。
経営
マーケティング
コミュニケーション
問題解決力
とくに経営とマーケティングについては、会社員コンサルタント時代では学べなかったようなノウハウが必要になります。なぜなら、会社員コンサルタントのクライアント規模は主に大企業であり、規模の小さな個人事業を軌道に乗せるためのスキルは習得していないからです。
フリーランスコンサルタントの知人がいれば、独立前にどのような勉強をしておいた方が良いかヒアリングしておくことをおすすめします。
サービス価値の明示
コンサルティングノウハウの一部を明文化して、WebサイトやSNSなどで発信しましょう。独立後しばらくの間はマッチングサービスや紹介で案件を獲得する予定であれば、自身のポートフォリオや職務経歴書を用意しておくことをおすすめします。
多くのマッチングサービスでは職務経歴書の送付を求められるため、簡素なものではなく一度時間を取って自身の魅力が最大限に伝わるものを作成しておきましょう。
コンサルで独立した場合の年収相場
弊社Liberty Nationに登録しているコンサルタントの平均年収は約2,000万円です。その中でも成功しているコンサルタントは、年収4,000万円を超えます。
一方で会社員コンサルタント(コンサルティングファームに従事している人)の年収は、新米アナリストで500〜800万円、最高職位のパートナーで2,500円以上です。
出典:コンサルタントの年収・給与を大公開!ランキングでもご紹介!|転職サービスのムービン
参考までに、弊社に登録しているコンサルタントの平均年収を超えられる会社員コンサルタントは、上位マネージャー以上の職位です。
このことから、コンサルタントとして独立すると、会社員コンサルタントよりも比較的容易に高い年収を得られることが分かります。
まとめ
本稿でご紹介した通り、コンサルタントとして独立しても、さまざまな原因で失敗する可能性があります。独立後の失敗が不安な方は、まずはフリーランスのコンサルタントとして案件獲得から参画までの一連の流れを経験することをおすすめします。
弊社Liberty Nationでは、フリーランスのコンサルタントとコンサルティング案件のマッチングを支援しています。週末のみの案件も少なからずご紹介できるので、個人の力のみでどこまで通用するのか体験してみたいという方は、ぜひ一度ご登録ください。
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