コンサルキャリア
2021.11.12
組織コンサルティングとは?人事コンサルティングとの違いや求められる能力を徹底解説!
INDEX
これから組織コンサルタントを目指す方の中には、以下のような悩みを抱えている人は少なくないでしょう。
- 組織コンサルティングの具体的な仕事内容を知りたい
- 組織コンサルティングと人事コンサルティングとの違いを知りたい
- 組織コンサルタントに必要なスキルや知識を知りたい
- 組織コンサルタントの年収や需要を知りたい
当記事では、組織コンサルティングの仕事内容や進め方、コンサルタントに求められる能力まで網羅的にご紹介します。
組織コンサルティングとは
組織コンサルティングとは、人事評価制度構築や組織改革など、顧客のHRM領域全般の課題解決を行うコンサルティングのことです。
顧客の経営戦略にもとづいて現状分析や人事戦略・方針の策定を行い、その分析結果から戦略に適合すると思われる解決策を提案します。
昨今はワークライフバランスや国の働き方改革の影響を受け、企業風土改革やミッション・ビジョンに関わるようなコンサルティング案件も増えています。
この領域は「組織開発(Organization Development)」を扱うことから、略してODコンサルティングと呼ばれることもあります。
組織コンサルティングの種類
組織コンサルティングの仕事について詳しく解説します。
組織コンサルティングは業務領域別にコンサルテーションを行うことが多いため、代表的な3つの種類を紹介します。
人事制度設計コンサルティング
クライアント企業に応じた人事制度を具体的に設計するのが、人事制度設計コンサルティングです。
具体的には賃金制度・評価制度・等級制度を扱います。コンサルティング着手時はどれか一つの制度に課題があり、制度設計のオーダーがあることが多いです。しかし、賃金・評価・等級はお互いが連動するため、どこか一つの制度を中心にコンサルティングしつつも、他の制度についても調整の必要が生じやすい傾向にあります。
軽微な制度改定はクライアント社内の人事部門が行うことが多いですが、大規模な制度改定・設計の場合は、外部の組織コンサルタントが担うケースがほとんどです。
また、制度設計だけではなく、人事制度運用マニュアルや人事制度ハンドブックの作成、人事制度改定説明会など、運用フェーズまで組織コンサルタントが担うこともあります。
組織・風土開発コンサルティング
クライアントの課題に応じて、特定の組織の意識改革や会社全体の風土改革を担うのが、組織・風土開発コンサルティングです。
昨今は厳しい環境での競争を勝ち抜くために、管理職のチェンジマネジメントやリスキング、経営層・次世代リーダー層へのコーチングなどが要望の多いテーマとなっています。
とくに、管理職や経営層への組織的なアプローチは社内人事部門が行うと説得力や緊張感に欠けるため、外部の組織コンサルタントに依頼があるケースが多いです。
データ分析によるコンサルティング
大手企業を中心として、昨今は人材管理のためのシステムやツールを導入する企業が増えています。そのシステムのデータを分析し、クライアントの課題解決を担うのがデータ分析によるコンサルティングです。
具体的なデータとしては、従業員満足度調査の結果、タレントマネジメントやクラウド管理システムのデータなど多岐に渡ります。
クライアントが具体的な課題感を感じており、データ分析を通じて検証を行うケースもあれば、フラットにデータ分析を行って見えてきた課題をクライアントに提示するケースもあります。
組織コンサルティングと人事コンサルティングの違い
組織コンサルティングと似たような職種として挙げられるのが、人事コンサルティングです。両者にどのような違いがあるのか具体的に紹介します。
人事コンサルティング
人事コンサルティングは、社員個人のスキルや知識を向上させるなど、基本的には人材に対してアプローチを行います。
具体的には、新入社員や管理職の階層別研修、特定職種のスキル開発研修などの企画や実施が人事コンサルティングの代表的な業務です。
また、採用コンサルティングも人事コンサルティングと分類されることが多くあります。クライアントの採用で実施する選考方法の設計や面接者トレーニングなどを、人事コンサルタントが行います。
人事コンサルタントの仕事内容などの詳細を知りたい方は、以下もあわせてご覧ください。
人事コンサルタントとは?仕事内容・必要スキル・年収・代表的なファームを徹底解説!
組織コンサルティング
社員個々人へのアプローチだけではなく、企業の構成員同士の関係性を改善し、組織の活性化をはかるのが組織コンサルティングです。
人事コンサルティングは、クライアントの人事部門のみとのやり取りで業務が完結することが多い一方で、組織コンサルティングは経営陣などクライアント企業の上部層とのやり取りが必要となるケースが多くあります。
また、人事コンサルティングは日本の企業が多いですが、組織コンサルティングはグローバル水準の賃金データなどが必要となるため、外資系の企業が多くなります。M&A後の組織設計や人事評価基準設計も組織コンサルタントの仕事の一つです。
組織コンサルティングの仕事内容
組織コンサルタントが担う仕事について、業務プロセスに沿って具体的な内容を紹介します。
ヒアリング・現状把握
クライアントの依頼内容に基づきヒアリングを行い、現状の組織状況を把握するためのステップです。
人事部門へのヒアリングが中心になりますが、課題抽出のために社内の複数部署のキーパーソンへインタビューを実施するケースもあります。
インタビューだけでなく、クライアントの組織に関するデータを提供してもらい、データドリブンでの現状分析を求められることも多いです。
課題分析・提案
ヒアリングの結果や組織データから課題分析、分析結果に基づく示唆や具体的な施策・立案、クライアントに提案を行うステップです。
分析内容をレポーティングし、クライアントに向けて報告会の実施を行います。その際、課題解決のための実行プランも同時に提案することがほとんどです。
とくに企業風土コンサルティングなど投資対効果が見えにくい領域は、生産性や人件費など風土改革後が及ぼす効果を代替指標に置き換えて提示することが求められます。
レビュー
コンサルティングによる一連の施策を実行した後、一定期間を経てから課題に対しての改善状況をレビューするステップです。
レビューを通じて別の課題や新たな課題が見えた場合は、レビュー内容とともに追加の施策を提案します。
組織コンサルタントに必要な能力とは
組織コンサルタントに必要な能力は大きく分けて以下の4つです。
- HRM・OD領域に関する専門知識
- 経営に関する専門知識
- 論理的思考力
- データ分析力
それぞれ詳しく解説します。
HRM・OD領域に関する専門知識
組織・人事領域に関わるHRMやODの深い専門知識は必須です。外部の専門家として、他社事例や学会論文など、幅広い知識を求められることがほとんどです。
また、人事制度設計を担う場合、労働基準法や勤怠管理など労務系の細かい法規知識や運用経験も必要となります。
経営に関する専門知識
組織コンサルティングは経営課題や役員レベルの課題解決がテーマになることが多いため、経営知識も求められます。
経営陣と対等にやり取りできるだけではなく、外部の専門家として他社の経営ノウハウなども知識提供する必要があります。
また役員クラスに外国人が含まれる企業も多いため、英語力もある程度必要です。
論理的思考力
組織コンサルタントは課題抽出に始まり解決策の提案まで、各場面で論理的思考力が必要とされます。
クライアントの組織・人事課題は非常にセンシティブなテーマです。高い論理的思考力に加え、コンサルティング実行時も常に仮説検証を行い、クライアント企業にとって最適な施策をチューニングする力も求められます。
データ分析力
組織コンサルティングは、従業員満足度データや賃金データなど、データを多く扱う仕事です。基本的なデータ分析力はもちろんのこと、データドリブンで課題を特定する力が必要となります。
また、複雑なデータ分析を実施するだけでなく、分析結果をクライアントにわかりやすく伝えられるコミュニケーション力も必要です。
組織コンサルタントに必要な資質とは
組織コンサルタントに必要な資質は大きく分けて以下の3つです。
- 肉体と精神の両面におけるタフさ
- 知的好奇心の強さ
- 課題に対する問題意識の高さ
それぞれ詳しく解説します。
肉体と精神の両面におけるタフさ
組織コンサルタントは、クライアントからの要求水準が高い案件が多いです。タイトな納期への要望に加えて、品質に関しても高い水準が求められるため、肉体と精神の両面のタフさが求められます。
とりわけ、精神面のタフさはとくに組織コンサルタントには必要な資質と言えるでしょう。人と組織の課題は正解が無いうえに、コンサルティングしている最中にも状況は常に変化します。課題が移り変わる状況を気にしない精神的なタフネスは、組織コンサルタントには必須です。
知的好奇心の強さ
組織課題は各クライアントによって異なります。クライアントのプロジェクト毎にテーマや求められる知識が変わるため、知的好奇心の高さが組織コンサルタントに必要な資質です。
クライアントが変わるごとに新しいことを学ぶのが楽しいと思えるタイプが、組織コンサルタントに向いているでしょう。
課題に対する問題意識の高さ
人と組織に対する課題解決策や課題解決プロセスは、一つとは限りません。
組織コンサルタント自身が持っている知識や経験に加えて、クライアントの状況を踏まえて最適な課題解決を行う問題意識の高さが求められます。
時にはクライアントとの対峙も臆することなく、課題解決に対して当事者意識を持って取り組むスタンスが必要です。
組織コンサルタントの年収
組織コンサルタントの年収ですが、キャリア(役職・立場)によって異なってきます。
アソシエイトクラス(リーダーの元で約3年程度経験を積む間) | 約500万円~700万円 |
---|---|
5年目以降 | 約1,000万円 |
プロジェクトリーダークラス | 約1,500万円 |
参考:組織・人事コンサルタントの仕事内容・必要スキル・年収とは
なお、リーダークラス以上になると、クライアントからダイレクトに指名がかかるケースも増え、年収の増加幅が一気に大きくなることが多いです。
また、弊社Liberty Nation(リバティネイション)に登録の組織コンサルタントの年収は以下の通りです。
アソシエイト・リーダークラス | 800〜1,200万円 |
---|---|
マネージャークラス | 1,500〜2,000万円 |
純粋な組織コンサルタントとしてではなく、より経営戦略策定に近い立場での組織コンサルティングのロールの場合は、さらに高単価となります。
組織コンサルタントのキャリア
最後に、組織コンサルタントの経験を生かしたキャリアステップについてご紹介します。
コンサルタントとして外資系の組織コンサルティングファームに所属している場合、人材流動が活発なため、望む年収や経験に応じて他のコンサルティングファームへの転職が考えられます。
人と組織に関する社内のセンシティブな課題解決を、複数の外部コンサル企業に委託したくないと思う企業は多いです。その場合、コンサルティングをしたクライアントの外部アドバイザーとして中長期の業務委託契約もしくは、社員としての転職も考えられます。
企業へのコンサルティング経験を積んだ暁には、独立して人事・組織関連のセミナーやカンファレンスでの講演、出版活動を展開することも可能です。
まとめ
組織コンサルティングとは、人事制度構築や組織改革など、クライアント企業のHRM領域全般の課題解決を行うコンサルティングのことです。
人事コンサルタントと比べて組織コンサルタントは担える人材が少ないため、貴重なポジションと言えるでしょう。経営層とやり取りしながら組織課題を解決するため、他のコンサルタントよりも組織内部に深く入り込んだコンサルティングを経験できることも醍醐味と言えます。
企業内部の組織課題はセンシティブな内容が多いため、最初は単発でコンサルティング依頼を受けたとしても、継続でコンサルティング案件を依頼されるチャンスがあるのも組織コンサルタントの特徴です。
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