コンサル基礎力

2020.5.23

新規事業の参入方法をどう見極めるべきか?: 基礎編

ここ最近、新規事業の立ち上げに携わることが多いため、参入方式を決める際の方法論の一つをまとめてみようと思います。

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投稿者略歴

・フリーランス歴: 4年
・元戦略コンサルタント: 5年
・元AIエンジニア: 1年

前提

新規事業のフェーズの中でも、①の”参入領域の見極め”が概ね完了した後の”参入方式の見極め”のフェーズを対象とします。

対象とする参入方法と考え方

今回は、比較的にどの業界でも応用が利きやすい、”対価の解釈変更”による参入方法のみを対象とします。
価値の解釈変更は、王道ではあるものの有名な方法論が既に多数あり、かつ業界毎のカスタマイズ度合いが大きいため、今回の基礎編では割愛します。

対価の解釈変更による参入オプション

大きく4つの対価の解釈変更と、これらに紐づく5つ参入方法が取りうる選択肢としてあります。

3つの対価の解釈変更
1. ネットワーク効果への貢献
インターネットやSNSの普及に伴い、ネットワーク効果は絶大な収益の源泉になりえます。それゆえに、Paypayを代表とする過剰補助型やスマホゲームを代表とする一部利用者負担型(フリーミアム型)が普及しております。

これらは初期に膨大な投資を図ることで、既存のビジネスプレイヤーを上回るネットワーク効果を気づき、後でマネタイズを図る参入方法となります。

本普及にて、上記代表例の既存プレイヤーであるクレジットカード会社やゲーム会社は絶大な損害を受けております。一方で、資金力のある新規参入サイドからすると強力な参入方式の一つとなります。

適用有効となる企業
・資金力がある
・新規参入したい事業領域と親和性の高い自社サービスを保有していない
・短期の新規市場の攻略を志向

2. 自社サービスへの収入貢献
本対価は提供サービスの費用無料or破格提供する代わりに、本来伸ばしたい自社サービスへの収入貢献を行うことになります。
自社の本業サービスの収入強化のための新規事業は大手が良く好む伝統的な選択肢の一つです。

代表的な例としてはAmazon Primeがあります。Prime自体は無料ではありませんが、基本的にAmazon商圏の優良パスの位置づけとなっており、無料で音楽/映画視聴、読書などのサービス利用が可能です。これらの提供によって非常に強固な解約防止効果を実現しています。

適用有効となる企業
・一定のシェアのある本業ビジネスを保有している
・目的は新規事業の収益化ではなく、あくまで本業の収益強化

3. 他社サービスへの収入貢献
本対価はサービス費用無料とする代わりに、他社サービスの利用を対価とすることで、他社サービサーから収益を得ることになります。

代表的な例としては、YouTubeの広告ビジネスがあります。視聴者は質の良い動画無料で見る代わりに、広告の閲覧が義務付けられており、それによる広告を収益をYouTubeは得て収益化する流れです。他にも古典的なものですとTVも該当し、仕組自体は全くYouTubeと同じです。

適用有効となる企業
・C向けの新規事業を志向(=広告や送客事業との親和性が高い新規事業である)
・コーポレートブランド力の劣位、サービス品質劣位などで価格競争では勝負しづらい企業

4. 必要経費
上述までのものは、費用=対価の解釈を別のものに移し替えて収益化を図る方式ですが、本方式はあくまで費用を対価とする。但し、劇的に費用ハードルを下げる心理解釈を訴求する。

比較的古典的な手法であるが再度注目を浴びてきている。
大きく成功報酬型とサブスクリプション型に分けられ、かなり多数のサービスが世の中に既に浸透している。

成功報酬型としてはライザップ、資格、英語塾、コスト削減コミット型のコンサルティングなどがある。サブスクリプション型では、先進的なものでNetflixのような定額動画、古典的なもので携帯やネット回線の定額/分割払い、ガス/水道などのインフラ代などがあげられる。

適用有効となる企業
・全ての企業(厳密には難しい業態もあるが、概ね適用有効とはいえる)

参考資料

ビジネスモデル全史 (ディスカヴァー・レボリューションズ)

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