コンサルキャリア
2021.11.12
ITコンサルタントとは?仕事内容やSEとの違い、必要な資格を徹底解説!
INDEX
これからITコンサルタントを目指す方の中には、以下のような悩みを抱えている人は少なくないでしょう。
- ITコンサルタントの具体的な仕事内容を知りたい
- ITコンサルタントとSEとの違いを知りたい
- ITコンサルタントに必要なスキルや資格を知りたい
- ITコンサルタントの年収や需要を知りたい
当記事では、ITコンサルタントの仕事内容や進め方、SEとの違いやITコンサルタントに求められる能力まで網羅的にご紹介します。
ITコンサルタントとは
昨今では、企業規模や業種を問わず、どのような企業もITなくして経営や業務が成り立たないほどITの重要性が高まっている状況にあります。
企業の経営や業務課題に対して、「IT( information technology)」を活用して解決策を提示することが、ITコンサルタントの役割です。
クライアント企業の経営戦略を踏まえたIT戦略を策定することから始まり、具体的なIT企画の立案や実行、さらに導入後のITシステムの運用など、上流から下流まで広くカバーします。
ITコンサルタントが所属するのは、ITコンサルティングの派遣サービスを行う会社や総合的なコンサルティングファーム、シンクタンク系企業、システムインテグレーター、事業会社のDX推進部などです。
社員として勤務することもあれば、フリーコンサルタントとして業務委託を請け負うこともあります。
開発の上流工程に携わり高い水準の年収が期待できるITコンサルタントは、さまざまな職種があるIT業界の中でも、最終的に目指したいポジションの一つです。
ITコンサルタントの仕事内容
ITコンサルタントの仕事は、企業のIT戦略の策定からシステムの見直し、新システム導入の提案、システムの最適化や動作検証まで多岐にわたります。
案件内容にかかわらず、ITコンサルタントの仕事内容は次の4つの段階に分けることが可能です。
ヒアリング・現状把握
クライアントの依頼内容にもとづき、現在のIT課題を把握するためのヒアリングやデータ分析を行い、現状把握を行うステップです。
IT戦略策定のコンサルティングの場合は、ヒアリング先は企業の経営者やIT統括責任者になりますが、多くの場合は現在の業務フローや導入済みのシステム状況を知るために、現場での現状調査は必須となります。
定性的なヒアリングと同時並行で、クライアントのITシステムデータを提供してもらい、定量的な現状把握も行います。
分析・提案
クライアントへのヒアリングやITの現状調査の結果やデータ分析を通じて、課題を特定してクライアントに解決案を提案するステップです。
クライアント企業の経営幹部に向けて現状分析の報告会を実施しますが、その際、ITを使った課題解決プランの同時提案も行います。
課題解決プランには、具体的なコストや人員などの必要なリソースや納期、実行後に得られる成果などの具体的な提示が必要です。
理論だけでなく、クライアントの制約事項や外部の最新のITトレンドを考慮した、プロとしてバランスが良い提案が求められます。
レビュー
提案した内容にもとづきコンサルティングによる一連の施策を実行した後、一定期間を経てから課題に対しての改善状況をレビューするステップです。
レビューを通じて別の課題や新たな課題が見えた場合は、レビュー内容とともに追加の施策を提案します。
マネジメント
ITコンサルティングは多くの場合、複数のメンバーを束ねるプロジェクト体制を組みます。そのため、ITコンサルタントは、実行フェーズのプロジェクトマネジメントも重要な業務になります。
プロジェクト編成前のフェーズでも、社内外の必要人材のアサイン・調達などクライアントへのアドバイスやサポートを行うこともあります。
ITコンサルタントとSEの違い
ITコンサルタントに似た職種として、システムエンジニア(SE)が挙げられることは多いです。ITコンサルタントとSEでは、同じシステム導入プロジェクトに携わるとしても、対象となる業務範囲や必要となるスキルに大きな違いがあります。
結論を先にお伝えすると、ITコンサルタントとSEの違いは以下の通りです。
SE | クライアントが求めるシステムの構築部分を担う |
---|---|
ITコンサルタント | ITを駆使し経営・ビジネス上の課題解決を担う |
以下でより詳しく両者の違いを解説していきます。
SE(システムエンジニア)
SEは、企業が抱える課題に対してシステムを構築することで課題解決、支援を行うことがミッションです。SEはいわゆる「システム構築・デジタル技術のスペシャリスト」でしょう。
システムの要件定義に従い、SEが設計を行い、仕様書を作成し、実際にプログラムを書いて構築~納品する業務がメインとなります。
SEは、担当しているシステム機能を深く掘り下げて理解し、クライアントの業務担当者に対してシステムのより良い使い勝手を提案できることに価値を求められます。また、要件通りにシステム設計を行い、プログラマーに求められた品質を担保するよう指導する役割を担っています。
SEは基本的に上記のような業務が主となり、システム要件定義より上流工程の作業である以下の工程は担当しません。
- 業務プロセス分析
- Fit&-Gap分析
- 経営課題のヒアリング など
また、SEはシステムや業務機能の最適化によってクライアントの事業の課題解決をサポートすることが多く、プロジェクトによってはITコンサルタントと協働し、技術・システム機能のスペシャリトとしてアサインされることもあります。
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、企業が抱える経営課題に対して、IT投資計画やシステム化企画の立案(既存システムのリプレイスや、新技術を導入した新規システム構築などの複数パターンの解決策を費用対効果、工期、実現リスクで評価)、具体的な実行スケジュールの策定も支援します。
また、ITソリューション導入し、業務プロセスや組織の変革についても改善案を提示することがミッションです。言わばITコンサルタントは「システム全体のプロデューサー」でしょう。
ここでITコンサルタントの種類を紹介しておきます。
種類 | 業務 |
---|---|
IT戦略コンサルティング | クライアント企業の経営層に経営戦略をヒアリング、実現のために必要なIT投資計画を策定・サポートを行う。 |
ITデューデリジェンス | クライアント企業の買収先が所有するIT資産にどれだけの価値があり、維持管理や改修、刷新にどれだけのコストが必要かなどの調査を行う。 |
マネジメント支援 | ITシステムの導入、開発・実装・テストを担当するベンダー企業の管理などはPM・PMOが担当し、それらを経営層へ説明する上位フェーズを担う。 |
パッケージ導入 | ERPやCRMなど、企業向けITソリューションのパッケージ導入の主導やサポートを行う。 |
RPA、AI領域の導入・開発支援 | 単純作業を自動化するRPAやAIなどの先端技術を活用し、経営課題の解決をサポートする。 |
上記のように経営方針を踏まえたIT戦略の策定や、システムの設計・構築に入る前までの議論などに上流工程から関与するのがITコンサルタントの特徴と言えます。
また、ITコンサルタントは、プロジェクトのスコープを左右するキーパーソンです。プロジェクト進行中は、現場の業務側の要望をIT側へ伝える重要なコミュニケーターの役割を担います。
さらに、ITコンサルタントはSEの得意分野やスキルを押さえたうえで、案件の成功に必要なSEをプロジェクトメンバーとしてアサインすることもあります。
SEに比べて守備範囲が広くなるため、機能の細部についてはSEに任せ、システム全体を俯瞰する姿勢が必要です。常に数歩先を見通したうえで、計画・実行・危機管理・報告を心掛けるようにしなければなりません。
ITコンサルタントの平均年収
世間的に高まるITニーズの潮流と連動し、ITコンサルタントの年収は高水準である傾向が強いです。
経済産業省が2021年3月に発表した「我が国におけるIT人材の動向」によると、DXを担うIT人材の給与水準において、企業に所属する6年以上の経験があるITコンサルタントのオファー年収は800万円~1,500万円となっています。
参照:参考資料1 我が国におけるIT人材の動向(PDF形式:5132KB)
なお、弊社Liberty Nation(リバティネイション)に登録しているフリーランスITコンサルタントの収入水準は以下の通りで、さらに高価格帯となっています。
平均年収 | 約2,000万 |
---|---|
平均月単価 | 100~350万 |
また「国税庁の民間給与実態統計調査(令和元年)」のデータから、一般ビジネスパーソンの平均年収が436万4,000円なのを考慮すると、ITコンサルタントは日本人の平均年収の2倍以上の年収が見込める可能性があるでしょう。
なお、ITコンサルタントの年収については以下の記事にてより詳しく解説しているので、ぜひ読んでみてください。
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ITコンサルタントの平均年収は?仕事内容や求められるスキルを分かりやすく解説!
ITコンサルタントに必要な資格
ITコンサルタントは、プログラマーやIT技術者からスタートし、徐々にキャリアアップしていくルートが一般的です。ITコンサルタントは資格が必要な職種ではなく、コンサルティング業務そのものは誰でも担えます。
一方で、専門的なスキルや知識を習得しているかどうかを客観的に示しにくい側面があります。したがって、ITコンサルタントとしてのスキルを客観的に示すためにも資格を取得しておくことが望ましいです。
また、経験が浅い段階から資格をきっかけにスキル習得することで、ITコンサルタントを目指す準備をすることもおすすめです。
ここでは、現場で仕事をしながら習得できる資格から、将来コンサルタントとして独立するために取得しておくと有利な代表的な5つの資格を紹介します。
ITコーディネータ
ITコーディネータは、2001年に通商産業省(現 経済産業省)が国家プロジェクトとして設けた、特定非営利活動法人ITコーディネータ協会が認定を行う民間資格です。
企業がIT経営を実現するための、IT資源の調達・導入・ITサービス活用など、実務的な内容が問われるのがITコーディネータの特徴です。
受験資格はとくにないため、実務経験が短くても受験できます。認定機関のITコーディネータ協会によれば、合格率は60~70%程度と比較的高いです。筆記試験の合格後、6日間のケース研修が行われます。
参考:合格者数及び合格率発表
ITストラテジスト
ITストラテジストは、経済産業省が認定し独立行政法人情報処理推進機構が実施している国家資格です。
経営戦略とITの両面を高いレベルで理解していることを客観的に示す資格で、ITストラテジスト取得しているITコンサルタントは、企業から高い評価を得られます。
プロジェクトマネージャ(PM)試験
プロジェクトマネージャ(PM)試験は、PMP®と略されることが多いです。プロジェクト管理の国際的なモデル事例集であるPMBOKに沿って、プロジェクト管理に関する知識や経験を証明する、国際的に認知度の高い資格です。
PMP®を取得すると、プロジェクトマネジメント分野においてITSS(「ITスキル標準」とも呼ばれる経済産業省が策定したIT人材に対するスキル体系)レベル3以上のスキルがあることの証明にもなります。
中小企業診断士
中小企業診断士は、中小企業に対する経営上の助言や支援を行う専門家であることを証明する国家資格です。合格者は「中小企業診断士」を名乗れます。
経営戦略や経済学、運用管理、財務・会計など、IT分野に限らず経営全般に関しての知識が問われます。ITに関わらずコンサルタント職に取得者の多い資格で、1次・2次の合格率が20%程度、試験全体では4%程度の難関試験です。
中小企業診断士試験では、現代企業の経営課題のひとつとして情報システムも試験科目として定められています。筆記試験や現場研修もあるため、知識だけでなく応用力も身につき、コンサルティング能力を高めるためにも効果的です。
ベンダー企業系資格
ベンダー系資格とは、ITベンダー企業が独自に設定している資格で、たとえばSAPやOracleなどのERPベンダーが実施する認定制度が該当します。
経営やITなど汎用的な知識よりも、ベンダー製品の使いこなしの方に力点を置いているのが特徴です。
ベンダー企業系資格を取得すると、経営層よりも情報システム部門など技術部門へのアピールとして、効果を発揮します。
ITコンサルタントに必要な能力
ITコンサルタントはIT部門での現場経験に加え、必要な能力や資質があります。ここではITコンサルタントとして必要となる能力の代表的な6つを紹介します。
1.コミュニケーション力
ITコンサルタントは企業の経営層クラスを相手にすることが多く、高いコミュニケーション能力や礼儀、仕事に対する誠実さが求められます。
またクライアント企業にはITの専門知識を持たない人も多いため、専門用語を多用せずに平易に物事を伝えるコミュニケーション力も必須です。
2.マネジメント力
アソシエイトクラスなら必須ではありませんが、リーダー以上になるとSEなどを含めたプロジェクトを束ねる立場となるため、マネジメントスキルは必須となります。
業務プロセス推進におけるプロジェクトマネジメント力だけではなく、最後までメンバーをフォロー、リードしながらプロジェクトを完遂する力も必要です。
3.IT知識や経験
コンサルティングを行う上でベースとなるIT知識やシステム部門での現場経験は必須となります。クライアントからも、過去どのようなITプロジェクトに関与したかは、必ず問われるでしょう。
ベースのIT知識や経験に加えて、移り変わりやすい技術トレンドに関する知識も、昨今のITコンサルタントには求められています。
4.論理的思考力
クライアントの課題解決の実現のためには、得られたさまざまな情報を分析し最適な提案を行うための論理的思考力が必要です。
クライアントの課題やニーズから本質的かつ具体的なシステムの形を考えたうえで、筋の通った提案を作り上げるプロセスは、ITコンサルタントなら必ず求められるでしょう。
5.自己研鑽力
IT技術の進歩するスピードは凄まじく、せっかく身に着けたスキルにもかかわらず数年経つと古くなっているということは珍しくありません。
したがって、ITのプロフェッショナルコンサルタントとして働くためには、業務に関係なくとも常に新しい知識やスキルを身に着ける姿勢が重要です。
6.俯瞰力・高い視座
ITコンサルタントはクライアント側とシステム側とを繋ぐ役割も担っています。
どちらかに視点が偏ることなく、全体を俯瞰して行動できることが重要です。同時に、どちらかの偏りをいち早く見抜いて是正する高い視座も必要となります。
ITコンサルタントのやりがい
ITのコンサルタントとして働く場合のやりがいやメリットをご紹介します。
大きな達成感を得られる
ITコンサルタントは、経営課題解決のためにクライアントの経営層からヒアリングするため、経営の視点から話ができます。
経営を左右する立場としてのプレッシャーはあるものの、試行錯誤しながらも経営課題が解決できたときには大きな達成感を得られます。課題解決できた時の喜びや達成感はひとしおでしょう。
本当に必要な提案ができる
ITコンサルタントは、自分の有するIT知識をフル活用しながら、システム開発に必要な事業者を外注できるなどの幅広い提案が可能です。
基本的に自社開発をサービスにしているIT企業では、自社でできる範囲内の提案内容となり、その幅の狭さから本当に必要な解決策を提案できない場合があります。
その点、ITコンサルタントはクライアントが本当に必要としている提案をできるため、大きなやりがいを感じることができるでしょう。
多くの人と一丸となって働ける
ITコンサルタントが参画する案件は、チームで動くことが当たり前の仕事です。クライアントやPM、SE、外注事業者など、課題解決のために多くの人が関わります。
一人ではなく、たくさんの人と関わりパイプ役にもなりながら協力し合えるのは、ITコンサルタントにとって大きな魅力と言えるでしょう。
高収入を実現できる
前述した通り、企業に所属する6年以上の経験があるITコンサルタントのオファー年収は800万円~1,500万円です。大手企業であれば新卒でも1,000万円以上を狙える場合もあります。
参照:参考資料1 我が国におけるIT人材の動向(PDF形式:5132KB)
ITコンサルタントの仕事内容、やりがい、向いている人を徹底解説|職種図鑑|転職ならtype
ビジネスパーソンの平均年収と比べると、高い収入が得られるため、自ずと高収入を狙える職種です。
また、ベースの年収が高いことに加え、フリーのコンサルタントになれば、自分の努力次第で単価を上げて収入を増やせます。
ITコンサルタントの収入事情をより詳細に知りたい方は、以下もあわせてご覧ください。
ITコンサルタントの平均年収は?仕事内容や求められるスキルを分かりやすく解説!
ITコンサルタントの厳しさ
やりがいのあるITのコンサルタントですが、もちろん厳しさもあります。ITコンサルタントとして働く覚悟を固めるためにも、厳しさやデメリットもぜひ参考にしてください。
労働時間が長くなりがち
ITコンサルタントは求められるアウトプットのレベルが非常に高いため、自ずと時間を要する案件が多いです。
とくにフリーコンサルタントは裁量労働となるため、クライアントの要求レベルによっては労働時間が長くならざるを得ない状況もあります。
プロジェクト進行中はシステムトラブルなど不可避な出来事もあるため、時間のセルフコントロールが難しい状況にも陥りやすいです。労働時間に耐えうる体力がなければ務まらないでしょう。
プレッシャーが大きい
ITコンサルタントは、クライアント企業の経営を左右する重大な責任を担う仕事であり、おのずとプレゼン相手が経営層となるためプレッシャーが大きいです。
コンサルティング費用も一般的に高額なため、仮に課題を解決できなければ、クライアント企業にとって大きな損失になってしまうという責任感とも戦わなければなりません。
また、ITコンサルが担う企業経営に関わる企画立案、解決策の提案は短納期が多いため、時間に追われることへのプレッシャーが大きいという特徴もあります。
常に最新の知識を仕入れなくてはいけない
日々新しい技術革新が起こるITの世界では、知識のアップデートは必須です。
ただでさえ長時間労働になりがちなコンサルティング業務を行いながらも、コンサルタントとして長く価値を発揮するために最新の知識を仕入れる努力が求められます。
まとめ
ITコンサルタントは企業の経営課題に対して、ITを駆使して課題解決するのがミッションです。
求められるスキルが非常に高い職種ですが、クライアント企業へのヒアリングから、施策の提案と実行、そして結果を見てクライアントの満足を受けるまでが業務にあたるので、やりがいのある職種です。
世間的にITの需要が増加している中、コミュニケーション能力とマネジメント能力、さらに分析や運用まで幅広く能力を発揮できるITコンサルタントは、今後ますます活躍の幅が広がるでしょう。
また、SEとしてシステム現場で経験を積んだ先に、ITコンサルタントへのキャリアチェンジを望む人は多いです。SE出身のITコンサルタントは、豊富なITの知識を持ったうえでシステム実現案を考案できることが強みとなります。
SEからのキャリアアップを望むのであれば、ITコンサルタントへの転身もぜひご検討ください。
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