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2021.12.13
財務コンサルにはどんな案件がある?フリーランスとして稼ぐコツや単価相場、求められるスキルについて解説!
INDEX
企業・組織における「財務」に特化したコンサルティングを手がける、財務コンサルタント。本記事では、財務コンサルの業務内容や案件の種類、案件獲得方法について解説します。
財務コンサルを目指している方はもちろん、将来的に独立を検討している現役財務コンサルの方にとっても有益な内容となっています。ぜひ最後までご覧ください。
財務コンサルタントとは
財務コンサルタント(以下、財務コンサル)とは、企業・組織における「財務」に特化したコンサルティングを手がける専門家です。クライアント企業が抱える経営課題の解決のために、財務面からの施策を提案するのが主な仕事です。
なお、財務コンサルは、「経営コンサル」「金融コンサル」「会計コンサル」「CFOアドバイザリー」などと呼ばれることもあります。
財務コンサルの業務
財務コンサルの業務内容は、主に次の3つです。
- 企業の財務戦略の立案
- 財務・会計業務の最適化
- 会計ルールの適正化支援
ひとつずつ見ていきましょう。
企業の財務戦略の立案
財務・会計的な観点から、クライアント企業の経営戦略や、経営者層の意思決定を支援します。方法論としては、シナリオプランニングやシミュレーション、リスク評価などを用いるのが一般的です。
戦略の立案はエビデンスに基づいて議論・実施されます。その際に必要となるデータの収集・成形・データベース構築なども財務コンサルが担当します。
財務・会計業務の最適化
クライアント企業の財務・会計業務に関する改善策を提案します。一例としては、会計帳簿作成業務のデジタルアウトソーシングが挙げられます。デジタルアウトソーシングとは、業務全体をデジタル化するとともに、外部委託するプロセスを指します。
デジタルアウトソーシングの導入によって財務・会計業務自体を見直しつつ、デジタル技術も駆使することで、ハード・ソフトの両面から業務の最適化を図ることがソリューションとなります。
そういった最適なソリューションを提案・実行するには、財務・会計分野に関する豊富な経験および洞察力とともに、最先端IT技術(Fintech、ブロックチェーン、仮想通貨など)に関する知識も必要です。
会計ルールの適正化支援
財務関連の法規制の動向をモニタリングし、クライアント企業における内部統制文書や社内規程などの作成支援ならびにその運用体制の構築を実施します。
また近年は、企業のグローバル化に伴い、国際会計基準(IAS)を導入する企業が増加傾向にあります。IASへの移行に伴い、新しい統一会計ルールの導入を主導することも財務コンサルの業務のひとつです。
財務コンサル案件の仕事の進め方
財務コンサル案件では、基本的にPDCAサイクルを回しながら課題解決をしていきます。
案件によっては、PDCAのうちの一部分を担当するケースもあります。また、所属するコンサルティングファームによっては、PDCAの一部に特化した業務を担当するケースやPDCA別に部署が分かれているケースもあります。
財務コンサルにおけるPDCAの内容を具体的に見ていきましょう。
立案(PLAN)
クライアント企業が抱える経営上の課題をヒアリングし、財務分析や市場調査を実施したうえで、課題解決のための財務施策を立案します。立案する財務施策には、資金調達戦略、IR戦略、M&A戦略などが含まれます。
たとえば、M&A案件(クライアント側が他企業を買収するケース)では、立案初期の段階で、買収資金の調達方法や、M&A実施の妨げとなりうる潜在的リスク(ディール・ブレーカー)の洗い出し・防止策といった、M&Aの必要条件を確認します。
実行(DO)
立案した内容に基づき、財務施策を実行します。財務コンサルが手がける財務施策の典型例としては、事業計画の策定、資産価値算定、債権者交渉、各種IR活動、M&A組織統合に際してのPMI(Post Merger Integration)の実行支援などが挙げられます。
そのほかにも、回転期間分析、投資利益率分析、売上利益率分析、現預金水準分析、商品別損益といった現状分析や、競合分析などもDOの段階で実施します。
評価(CHECK)
実行した財務施策の効果を定性・定量の両面から評価し、報告書として取りまとめます。その過程では、財務施策の進捗や予算実績の管理なども行います。
改善(ACTION)
財務施策の評価によって浮かび上がった課題などを踏まえ、改善策を適用します。
会社の業績状況によっては、リストラクチャリング戦略、再生型M&Aなどを適用する場合もあります。
財務コンサル案件に求められる資格・スキル
財務コンサル案件に求められる資格は大きく3種類です。
- 公認会計士・税理士・不動産鑑定士などの財務会計に関する専門資格
- 読み書き以上の英語力を示す資格
- Fintech、ブロックチェーン、仮想通貨に関する知識
まず、コンサルタント業務全般に必要なスキルとして、仮説思考、論理的思考、コミュニケーション力、交渉力、プレゼンテーション力などを持っていることは、財務コンサル案件をこなすための大前提となります。
そのうえで、財務コンサルには、公認会計士・税理士・不動産鑑定士といった財務会計に関する専門資格が必要となります。
それに加え、より高度な専門性を必要とする、企業経営のコア(CEO、CFOなど)に近い立場でのコンサルティングも期待されます。
たとえば、海外M&A案件や日系企業の海外進出に伴って生じる国際会計基準への適合や内部コンプライアンス整備、各種報告書の作成におけるスペシャリティが求められるケースが多々あります。
そのため、読み書き以上の英語力を証明する資格(TOEIC・TOEFLスコア、海外大学で取得した学位など)や国際財務資格(U.S.CPAなど)があると、案件獲得に有利です。
企業のグローバル化が加速している昨今、国内企業も国際会計基準(IAS)に移行しつつあります。そのため、早い段階でU.S.CPAを取得しておくと、将来的に強力な武器となるでしょう。
近年は、Fintec(金融とIT技術を融合させた新領域)の興隆により、ブロックチェーン技術や仮想通貨といった先端IT技術を取り扱った監査アドバイスや会計処理の解説にも、財務コンサルが貢献しています。
先端IT技術にも精通している場合、市場価値の高い人材になれるでしょう。
財務コンサル案件の単価相場
財務コンサルを含む、各種コンサル案件の単価相場は、所属するコンサルティングファームの規模やコンサル内容、契約タイプによって異なります。
以下、財務(経営)コンサルの外注・見積もりサービス「比較ビズ」に掲載されている案件情報を参考に、主な契約タイプとその相場感を一覧表にまとめてみました。
契約タイプ | 契約概要 |
---|---|
アドバイザリー契約 | クライアントの相談役として、継続的な関係性を築く契約。毎月定額の報酬が支払われる。 |
プロジェクト型契約 | 特定のプロジェクトごとに交わされる契約。報酬額はプロジェクトの期間によって異なる。 |
スポット型契約 | 単発の経営相談契約。対面やオンラインで実施される。 |
契約タイプ | 小規模コンサルティングファーム | 国内・独立系コンサルティングファーム (船井総研、タナベ経営など) |
外資・大手コンサルティングファーム (アクセンチュア、 デロイトトーマツコンサルティングなど) |
---|---|---|---|
アドバイザリー型 | 3〜20万円/月 | 20〜30万円/月 | 100万円/月〜 |
プロジェクト型 | 60〜180万円/半年 120万円-360万円/年 |
90〜270万円/半年 180〜540万円/年 |
2,000〜3,000万円/3ヶ月〜 |
スポット型 | 5,000円〜3万円 | 5万円 (対面コンサルの場合) |
10万円/1時間〜 |
出典:コンサル費用(コンサルフィー)ってどのくらい?料金体系と相場を解説
フリーランスコンサルの単価については以下の記事で詳しく解説しているので、こちらもぜひ読んでみてください。
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コンサルタントが起業を成功させるコツは?起業のメリット・デメリット・流れなどを解説!
フリーランスの財務コンサル案件の特徴
ここからは、フリーランスの財務コンサル案件の特徴について解説します。
財務コンサル案件全般は、専門資格の保有が必須条件となっています。それに加え、フリーランスの財務コンサル案件の場合は、英語を使った業務がデフォルトとなります。
実務経験を積むことで資格取得に近づく職種でもありますので、コンサルティングファーム時代に、専門性を証明する資格を取得しておくと良いでしょう。専門性を証明する資格の具体例は、前述した通りです。
財務コンサルがフリーランスとして独立する背景にはさまざまな理由がありますが、一般的にもっとも成功しやすいのは、クライアント企業・コンサルティングファームの双方から信頼を得て独立するケースです。
独立後の業務形態としては、複数企業の短期案件を数多くこなす場合より、特定企業の専属コンサルタントとして中・長期契約を結ぶ場合のほうが単価アップにつながりやすいのが特徴です。
なお、財務コンサルに近い領域を手がけるコンサルには、戦略コンサルがあります。財務コンサルと戦略コンサルの主な違いは、財務会計業務に特化しているか否かという点です。
M&Aを例に挙げると、「M&Aを実施するかしないか」のコンサルティングまでは戦略コンサルが担います。そして、M&A後の会計統合、各種報告書作成、会計業務プロセスの改善などを財務コンサルが牽引するイメージです。
また、コンサル業界の中でも財務コンサルと戦略コンサルは、特に「顧客との信頼関係」が収入を大きく左右する職種でもあります。この点は、製品やサービスが完成すれば次の案件へと移っていくITコンサルと大きく異なります。
財務コンサル案件の案件獲得方法
ここからは、主にフリーランスの方が財務コンサルの案件を獲得するための4つの方法について解説します。
- 自ら営業する
- リファラル採用
- マッチングサービスを利用する
- エージェントを利用する
この4つの項目の詳細は以下のとおりです。
直接営業する
財務コンサルの顧客となりうる「コンサルティングファーム」や「事業会社」に直接営業するという方法です。
メリット | デメリット |
---|---|
・マッチングサービスなどを経由しないため、仲介手数料などが発生しない | ・新規顧客を獲得する場合には、悪徳案件に当たるリスクがある |
すでにフリーランスをされている方で、現取引先にリピートしてもらいたい場合には、手数料がかかる仲介業者を介するよりも直接営業が有効です。
また、顧客獲得にすぐに結びつかなかったとしても、直接営業という形で将来の顧客になりそうな「見込み客」と面談しておくことも大切です。
見込み客を見つける際には、経営者層が集まりやすい財務関係のセミナーなどに参加するといった方策が考えられます。経験豊富な財務コンサルの方であれば、自らセミナーを主催するのも良いでしょう。
また、フリーランスになる前の会社員時代から見込みとなる顧客を見つけておく手段も効果的です。
リファラル採用
リファラル(referral)採用とは、クライアント企業に所属する社員からの紹介・推薦により、選考に進める採用方法を指します。
フリーランスの場合、元クライアントや元同僚、業界関係者、知人の方などから案件を紹介・推薦してもらえる可能性があります。
人脈を大切にしておくことで、プロジェクトに空き要員ができたタイミングなどで、案件獲得に結びつく可能性があります。また、SNSなどで培った人脈も、案件獲得に結びつく場合があります。
ご自身の仕事内容を社会に向けて積極的に発信しておくと良いでしょう。
メリット | デメリット |
---|---|
・ミスマッチを防ぎやすい。 ・書類審査から面接、採用までスムーズに進むことが多い。 |
・ファームを通さず直接契約を結ぶことで、クライアント企業側に法的リスクを生じさせるといったリスクがある。 ・過去に所属していたファームとの契約違反や関係悪化につながらないよう、事前の根回しや配慮が必要。 |
リファラル採用のメリットは、自分の能力についてすでにある程度把握している人と仕事をすることで、ミスマッチを防ぐことができる点です。
また一般的に、既知の間柄であればあるほど、書類審査から面接、そして採用に至るまでのプロセスがスムーズに進みやすいでしょう。
その一方、いわゆる「引き抜き」のような形のリファラル採用を受ける場合には、過去に所属していたファームとの契約違反や関係悪化につながらないよう、配慮が必要です。
ファームを通さず直接契約を結ぶことで、クライアント企業側に法的リスクを生じさせるといったリスクも想定のうえ、関係者間で十分な根回しをしながら動く必要があります。
マッチングサービスを利用する
マッチングサービスとは、案件の受注先を探している企業と受注したい個人をマッチングさせるサービスです。マッチングサービスに登録することで、複数ある案件の中からご自身に合った案件を探しやすくなります。
メリット | デメリット |
---|---|
・空き時間などを有効活用できる「スポット型」案件が多数。 | ・大規模で専門性のある案件は掲載されていない場合が多い。 |
マッチングサービスに掲載される案件の多くは、「スポット型」が多いため、副業コンサルをしたい方には最適と言えます。うまく活用すれば、空き時間などを有効活用しながら収入を上げることが可能です。
その一方、「企業対個人」の契約になるため、専門コンサルチームを結成するような、大規模かつ専門性の高い案件は掲載されていないことがほとんどです。
そのため、副業としてではなく、フリーランスの財務コンサルとして独立を考えている方は、後述のフリーランス向けエージェントを検討されるのがおすすめです。
フリーランス向けのエージェントを利用する
エージェントを介して戦略コンサル案件を紹介してもらうという方法です。一般的に、フリーランサーは社会的に弱い立場に置かれがちですが、エージェントが企業・個人間の仲介をしてくれるため、安心して仕事に取り組むことができます。
さらに、フリーランス向けのエージェントでは、マッチングだけでなく、継続的な案件獲得支援、福利厚生といった、フリーランスにとって心強い各種サポートも提供されています。
エージェントによっては、契約・交渉時のサポートや、確定申告代行などのサービスも提供されています。
ただし、エージェントが間に入る分、手数料がかかる場合があります。とはいえ、その手数料に見合うサポートを提供しているエージェントサービスをうまく活用すれば、あなたのフリーランス生活は充実したものになるでしょう。
メリット | デメリット |
---|---|
・エージェントが企業・個人間の仲介をしてくれる。 ・案件獲得や福利厚生に関するサポートが充実。 |
・仲介手数料がかかる場合がある。 |
弊社Liberty Nation(リバティネイション)は、フリーランスに特化したエージェントです。財務コンサルを含むフリーコンサルタントの方に継続的に良質な案件を紹介する体制が整っています。
また、フリーランサーの悩みやニーズを熟知しており、契約・交渉時のサポートや、確定申告代行といった手厚いサポートも提供しています。
現役のフリーコンサルの方はもちろん、コンサルティングファームからの独立をご検討中の方も、ぜひ弊社サービスの利用をご検討ください。下記のバナーよりご登録いただけます。
まとめ
本記事では、財務コンサルの業務内容や案件の種類、フリーランスとして独立した場合の案件獲得方法について解説しました。
財務コンサルは、企業・組織における「財務」に特化したコンサルティングを手がける専門家であり、財務コンサル案件全般は、専門資格の保有が必須条件となります。
そのほか、読み書き以上の英語力を証明する資格やU.S.CPAなどがあると、案件獲得に有利に働きます。
さらに、近年のトレンドである、Fintecやブロックチェーン、仮想通貨といった先端IT技術に関する知識を持っておくと、より市場価値の高い人材になれるでしょう。
フリーの財務コンサルとして案件を獲得するためには、自ら営業する、リファラル採用、マッチングサービスの利用、エージェントの利用といった手段があるので、
それぞれのメリットとデメリットを理解した上で、ご自身にとって適切な方法を利用してみてください。
弊社Liberty Nation(リバティネイション)はフリーランスに特化したエージェントとして、フリーランスの財務コンサルの方に案件を継続的にご紹介することが可能です。
フリーランスとして独立を検討されている方はもちろん、まずはどのような案件があるのかを知りたいという方も歓迎いたします。
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