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2021.12.21

M&A業界の平均年収は?「年収が高い」と言われる理由とともに解説

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高年収で知られるM&Aコンサルティング業界。高年収の背景には、どういった要因があるかをご存知でしょうか?

本記事では、M&A業界の詳しい年収事情や年収が高い理由、M&A仲介会社の実情について解説します。

フリーコンサルとして独立・キャリアアップを検討されている方にとっても有益な内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

M&A業界の平均年収ランキング


M&A業界の平均年収は、全業界の中でトップクラスの水準にあります。

たとえば、東洋経済オンラインが発表している「全国トップ500社の平均年収ランキング(2020年1月版)」によると、全上場企業のうち「M&Aキャピタルパートナーズ」が最高平均年収にランクインしています。

そのほか、GCA(3位)、ストライク(6位)、日本M&Aセンター(11位)といったM&A仲介会社も上位にランクインしています。

上場企業の平均年収ランキング(M&A仲介会社のみを抜粋)

社名 平均年収
1位 M&Aキャピタルパートナーズ 2,478万円
3位 GCA 2,063万円
6位 ストライク 1,539万円
11位 日本M&Aセンター 1,413万円

参考:東洋経済オンライン 平均年収「全国トップ500社」最新ランキング

M&A仲介会社(M&Aコンサルティングファーム)とは、企業間でM&A(合併と買収)を進める際に、譲渡を希望する企業と譲受を希望する企業の間に入り、M&Aを円滑に進めるためのコンサルティングを行う企業です。

年齢やスキル・実績にもよりますが、上記のランキングを見る限り、M&A仲介会社に所属する「M&Aコンサルタント」や「M&Aアドバイザー」は、年収1,000万円以上の方が多数を占めます。

また、フリーランスのM&Aコンサルタントとして独立した場合、会社員コンサルの倍以上の年収を得ている方もいらっしゃいます。フリーランスコンサルタントの年収に関しては、この記事の後半で詳しく解説しています。

平均年収が高いM&A仲介会社の概要


ここでは、年収ランキングの上位にランクインしているM&A仲介会社4社の基本プロフィールをご紹介します。

M&Aキャピタルパートナーズ

平均年収:2,478万円

出典:東洋経済オンライン 平均年収「全国トップ500社」最新ランキング

M&Aキャピタルパートナーズは、中小企業のM&Aに特化した仲介会社です。M&A業界はもちろん、全上場企業の中でもトップクラスの平均年収(2,478万円)を誇ります。

M&Aキャピタルパートナーズのコンサル体制の最大の特徴は、M&Aの検討初期〜成約まで、専任のコンサルタントが一貫して対応する点です。

設立 2005年10月
本社所在地 東京都千代田区
対応地域 全国(拠点:東京本社、大阪)
報酬体系 中間報酬(買収監査時に成功報酬の10%が発生)・成功報酬(M&Aの成立時に残りの90%が発生)
従業員数 (連結)222名
(単体)150名
(2021年9月30日現在)
資本金 28億円

参考:M&Aキャピタルパートナーズ公式サイト

GCA

平均年収:2,063万円

出典:東洋経済オンライン 平均年収「全国トップ500社」最新ランキング

GCA株式会社は、どの資本系列(金融機関)にも属さない、独立系のM&A仲介会社です。国内のみならず、アメリカやヨーロッパにも事業を展開している点が特徴です。

設立 2004年 4月
本社所在地 東京都千代田区
対応地域 日本・アメリカ・ヨーロッパ
報酬体系 非公開
従業員数 446名
(2019年12月31日現在)
資本金 13億9100万円
(2020年12月31日現在)

参考:GCA公式サイト

ストライク

平均年収:1,539万円

出典:東洋経済オンライン 平均年収「全国トップ500社」最新ランキング

株式会社ストライクは、2019年に日本初のインターネットM&Aサービス「SMART」を創設したファームです。

SMART(Strike M&A Rapid Trading system)とは、譲渡を希望する企業と譲受を希望する企業をオンライン上でマッチングするサービスです。

従業員数は比較的少なく(2021年2月28日時点で159名)、少数精鋭でコンサルティング事業を行っている点が特徴です。

設立 1997年7月
本社所在地 東京都千代田区
対応地域 全国(拠点:東京本社、札幌、大阪、広島、福岡、仙台、名古屋、高松)
報酬体系 基本合意報酬・成約報酬
従業員数 159名
(2021年2月28日現在)
資本金 8億2,374万円
(2021年2月28日現在)

参考:ストライク公式サイト

参考:有価証券報告書 ‐ 第13期(令和2年1月1日 ‐ 令和2年12月31日)

日本M&Aセンター

平均年収:1,413万円

出典:東洋経済オンライン 平均年収「全国トップ500社」最新ランキング

日本M&Aセンターは、全国の公認会計士や税理士が共同出資で創設した完全独立系のM&A仲介会社です。

士業事務所と連携をはかり、案件リスクへの対応に力を入れている点が特徴です。

設立 2021年4月1日
(1991年4月25日 創業)
本社所在地 東京都千代田区
対応地域 日本、東南アジア(拠点:東京本社、大阪、名古屋、福岡、札幌、広島、沖縄、シンガポール、ベトナム、インドネシア、マレーシア)
報酬体系 成功報酬
従業員数 653名
資本金 3,780(百万円)
(2021年3月現在)

参考:日本M&Aセンター公式サイト

参考:日本経済新聞

M&Aアドバイザーの年収

ここでは、M&A業界における主要ポストの一つである、M&Aアドバイザーの年収をご紹介します。

M&Aアドバイザーとは、M&Aに関連する一連のコンサルティングを手がける専門家であり、「M&Aコンサルタント」や「ファイナンシャルアドバイザー(FA)」という名称でも知られています。

上場・未上場、外資のコンサルティング会社(M&A仲介会社)に所属するM&Aアドバイザーの年収レンジは、下記の通りです。未上場企業の場合でも年収1,000万円に届く方がいらっしゃいます。

分類 年収(万円)
上場経営コンサルティング会社 600〜2,000
外資系経営コンサルティング会社 650〜2,000
未上場経営コンサルティング会社 400〜1,000

出典:M&A業界が年収ランキング上位を占める理由!会社別給料・ボーナスの解説

国税庁の「令和2年分民間給与実態統計調査結果」によると、日本人の平均給与は433万円となっています。

この数値を基準に考えると、未上場経営コンサルティング会社に所属のM&Aアドバイザーの給与上限は、日本人の平均給与の倍以上、上場企業、外資系企業であれば4倍以上に相当します。

出典:国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査結果」を公表

M&A業界仲介会社の年収が高い理由


ここまでで解説してきた通り、M&A業界の年収は他の業界と比較して高水準にあると言えます。ここからは、M&A業界の年収が高い背景にある5つの理由について掘り下げていきます。

  • 利益率が高いから
  • M&Aの需要が高まっているから
  • インセンティブ制度を採用しているから
  • 人材が不足しているから
  • 業務が多忙だから

ひとつずつ見ていきましょう。

利益率が高いから

業務形態上、M&A仲介会社は収益性が高いため、その高い利益率が社員の年収に還元されます。

譲渡企業(売り手)と譲受企業(買い手)の間でM&Aが成約した場合、M&A仲介会社は売り手と買い手の両方から成功報酬(仲介手数料)を受け取ることができます。

それと同時に、M&A仲介会社では、企業運営のためのコストが少ない点も高い利益率に寄与しています。

たとえば物販をする会社の場合、原料の仕入れが必要となるため仕入れのためのコストが余分にかかってしまいますが、M&A仲介会社は知識や経験を商品としているため、人件費以外のコストがほとんどかかりません。

したがって、仲介手数料として獲得した売上が、そのまま社員の利益に直結するのです。

M&Aの需要が高まっているから

社会全体で、M&Aの需要が高まっているため、M&Aを仲介するコンサルティング報酬も高水準に保たれています。

MARR Online「グラフで見るM&A動向」によると、2011年から2019年にかけ、日本企業のM&A件数は右肩上がりとなっており、8年間で2倍以上に増加。

2020年から2021年にかけてはコロナ禍で数字が落ち込みましたが、依然として年間3,000件以上のM&Aが成立に至っています。

参照:グラフで見るM&A動向||マールオンライン

社会全体でM&Aが増加している背景には、後継者が不在となる中小企業が増えていることが関係しています。「後継者が見つからないから廃業」という選択を避けるために、M&Aを検討する企業が多いのです。

また、グローバル化や感染症の蔓延などにより社会情勢が大きく変動している昨今、企業の規模を問わず、経営戦略としてM&Aを選択する企業も増えてきています。

インセンティブ制度を採用しているから

多くのM&A仲介会社では、成果に応じて給与が加算される「インセンティブ制度」が採用されています。

インセンティブ制度の下では、コンサルタントとしてM&Aを成功させればさせるほど年収が上げることが可能です。

ただし、すべてのM&A仲介会社がインセンティブ制度を採用しているわけではありません。将来的に年収1,000万円以上を視野に入れている方は、就職・転職先がインセンティブ制度を導入しているかどうかを事前に確認されることをおすすめします。

人材が不足しているから

社会全体におけるM&Aの需要が高まっていることは先述した通りですが、M&Aの業務は専門性が高く、誰にでもできる仕事ではありません。

たとえば、公認会計士・税理士・不動産鑑定士といった財務会計に関する専門資格の保有が必須条件となります。M&Aコンサルティングのニーズが高まる一方で、専門性の高い人材の確保が年々難しくなっているのが現状です。

業務が多忙だから

多くのM&A仲介会社では、多忙な業務の見返りとして社員に高報酬を支払っているという背景があります。

M&A仲介会社では、安定した利益を出すために常に複数の案件を進行させる必要があります。

また、M&Aが途中で破談になった場合には成果報酬が受け取れないため、一つひとつの案件を確実に成約させるべく、社員一丸となって業務にあたる必要があります。そのように過酷な労働環境に身を置くコンサルタントの報酬は、高めに設定されます。

とはいえ、M&A業界の労働環境は年々改善されつつあります。特に近年、政府主導の「働き方改革」が推進されていることもあり、私生活や健康状態に支障をきたすほどの長時間残業は減りつつあります。

M&A業界、コンサルティングファームが取り組んでいる働き方改革の詳細については、以下の記事で解説しています。

▼関連記事
戦略コンサルタントは激務?繁忙期の有無や激務の理由を徹底解説!

M&A仲介会社の福利厚生・諸手当


ここでは、M&A仲介会社に就職した場合の福利厚生や諸手当について紹介します。企業によって異なる点もありますが、主に以下のような福利厚生・諸手当があります。

  • 社会保険完備
  • 交通費支給
  • 人間ドック受診制度
  • 従業員持株制度
  • 借り上げ社宅制度
  • 業績連動賞与

上記の例からもわかるように、M&A仲介会社ならではの特別な福利厚生・諸手当は少ないものの、一般的な大手上場企業が揃える福利厚生・諸手当は大体揃っています。

M&A仲介会社の業務内容


ここでは、「年収が高い」と言われるM&A仲介会社が、実際にどのような業務を行っているのかを解説します。業務内容は以下の3種類に大別されます。

  • 売買先のマッチング
  • スケジュールの策定・管理
  • 交渉の取り持ち

売買先のマッチング

M&A(企業間の合併・買収)とは、会社あるいは経営権を企業間で売買する取引を指しますが、M&A仲介会社は、その名の通り、M&Aの「仲介」を手がけます。

より具体的には、自社のネットワークやオンラインプラットフォームなどフル活用しながら、譲渡企業(売り手)と譲受企業(買い手)双方の希望条件をすり合わせることで、円滑なマッチングに導くことがM&A仲介会社の役割です。

マッチングが成立した場合、譲渡企業と譲受企業の双方から、M&A仲介会社に成功報酬が支払われます。

スケジュールの策定・管理

売り手と買い手のマッチングをするだけでなく、M&Aが滞りなく進むよう、スケジュールを策定・管理するのもM&A仲介会社の仕事です。

特に、売り手側(中小企業など)はM&Aを初めて経験するケースが多いため、M&A仲介会社によるスケジュールの策定・管理は大きな意味を持ちます。

交渉の取り持ち

M&Aを進めるに当たっては、売り手と買い手の間で価格交渉などが必要になります。交渉においてお互いが言いにくいことを、中立的な立場から取り持つことも、M&A仲介会社の仕事です。

たとえば、M&Aコンサルタントが交渉の場に立ち会うことで、交渉時によくある「言った・言わない」といった揉め事を回避することに繋がります。

そのほか、各種契約内容の取りまとめや契約書類の作成なども、財務会計の知識が豊富なM&Aアドバイザーやコンサルタントが担当します。

M&A業界で高年収を目指すならフリーランスという選択肢も


M&A業界におけるキャリア初期にはM&A仲介会社に所属するケースが一般的ですが、フリーランスのM&AコンサルタントやM&Aアドバイザリーとして活躍する方も増えてきています。

フリーランスであれば、高単価案件の掛け持ちで報酬を増やすことが可能なので、年収に上限はありません。したがって、能力次第ではM&A仲介会社に就職するよりも高い年収を目指すことが可能です。

たとえば、弊社Liberty Nationに登録のコンサルタントの報酬レンジは以下の通りです。先述の「M&Aキャピタルパートナーズ」の平均年収(2,478万円;国内上場企業の中でトップクラス)を超える年収の方も実際にいらっしゃいます。

年収 月単価 月平均単価
1,800〜
4,200万円
150〜
300万円
180万円

フリーランスコンサルタントの単価事情については、以下の記事でより詳しく解説しています。

▼関連記事
フリーコンサル案件の単価相場はどのくらい?レベル別・職域別の想定年収を徹底解説!

まとめ


全業界の中でもトップクラスの高年収を誇るM&A業界。その背景には、M&A仲介会社の利益率の高さ、社会における需要、インセンティブ制度の導入、専門性の高い人材の不足、業務の多忙さといった要因があります。

平均年収2,000万円越えのM&A仲介会社も存在しますが、より柔軟な労働環境でより高収入を目指す場合には、フリーランスのコンサルタントになるという選択肢もあります。

弊社Liberty Nationは、フリーランス向けのエージェントとして、M&AコンサルタントやM&Aアドバイザーの方に案件をご紹介しています。

M&A業界でさらなるキャリアアップを目指したいという方は、フリーランスコンサルタントという選択肢もぜひ前向きに検討してみてください。

以下のバナーより、お問い合わせ・ご登録を心よりお待ちしております。

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