コンサルキャリア
2021.12.27
ERPコンサルタントの仕事内容とは?必要な資格や年収相場についても解説!
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ERPコンサルタントはヒト・モノ・カネといった資源を無駄なく活用し、企業の問題を解決していく仕事です。
現在、企業の多くがERPへの投資を検討していて市場は右肩上がりとなっています。コンサルタントの仕事としては将来性も抜群でしょう。
そのため、ERPコンサルタントの仕事について詳しく知りたい方も興味を持っている方も多いのではないでしょうか。
今回はERPコンサルタントの仕事内容を紹介しながら、必要なスキルや資格について解説していきます。これからERPコンサルタントを目指したい人はぜひチェックしてみてください。
ERPコンサルタントとは?
ERPは「Enterprise Resource Planning」の略語で、経営資産計画を指す言葉です。
つまりERPコンサルタントとは、ITシステム(ERPパッケージ)の導入で経営資産を客観的に把握し社内の業務効率化を進める人を指します。
具体的には、クライアントに対し「顧客管理」「財務会計管理」「経営支援」「マーケティング管理」などを実施します。
ERPコンサルタントの最終的なミッションは、ERPパッケージを活用して企業の業務改革を実現させることです。
ERPコンサルタントは、下記の手順を踏みながら仕事を進めていきます。
以下にて各業務フェーズをそれぞれ詳しく解説します。
経営課題を明確にする
ERPパッケージを導入する前に、クライアントの抱える経営課題を明確にしていかなければいけません。
そのためにまず行うのは、業務内容を徹底的にヒアリングすることです。入念に各部門の情報収集を行い「どのように効率化を進めるのか」「どのようなERPパッケージが最適なのか」を導き出す必要があります。
ERPコンサルタントの場合、ただ話を聞くだけでなく「机を並べてクライアントと一緒に業務を行う」「社内ドキュメントを読み情報を共有する」などを行うのが一般的です。
ERPを導入する
クライアントと打ち合わせを行い情報収集をしたあとは、相手のニーズに合わせて実際に必要なシステムを導入します。
そして導入するだけがERPコンサルタントの仕事でなく、設計から開発まで携わりプロジェクト全体をマネジメントしていかなければいけません。
また企業ごとにニーズを把握し、ソフトをカスタマイズするのもERPコンサルタントの仕事です。
「経営課題の明確化」のフェーズと同様、ここでもクライアントと一緒に業務を行ったり社内ドキュメントの共有をしたりします。
アフターサポートを行う
ERP導入後はアフターサポートを行います。
導入後も効果を常に確認して、企業にとって最も効果的な業務の効率化を図っていかなければいけません。
SAP導入企業が増えていることもあり、今では導入だけでなく稼働後のバージョンアップ対応やシステム追加、連携といったことでもコンサルティングを依頼するケースが増えています。
代表的なERPパッケージ
代表的なERPパッケージを3つ紹介します。
- SAP
- Oracle EBS
- Microsoft Dynamics
SAP
出典: SAPジャパン – ビジネスソフトウェア、ソリューション
SAPは世界中の企業で導入されている最もポピュラーなERPパッケージです。
日本国内でも導入が多く、SAP一つあれば会計管理、購買、生産、人事を手広くカバーできます。
またSAPは資格制度も充実しているのが特徴です。近年のコンサルティングファームの転職市場では、SAPに関する知識を持った人を優遇する動きもあります。
SAP ERPは2027年に従来のシステムがサポート終了するので、SAPソリューションに関するシステム対応のできるコンサルタントは今後さらに重宝されるでしょう。
Oracle EBS
出典:Oracle E-Business Suiteアプリケーション
Oracle EBSは財務会計や人事管理を内包するERPのパッケージです。
元々は財務会計パッケージとして発表されたものでしたが、現在はSCM、CRM、BIなどの領域に関するシステムも統合されています。
近年普及しているのが次世代のクラウドシステム「Oracle ERP Cloud」です。高いセキュリティと柔軟のモジュールが組み合わさった万能型で、従来のOracle EBSからこちらに移行しています。
Microsoft Dynamics
出典:Microsoft Dynamics 365: Business Applications
Microsoft DynamicsはOffice製品によるERPパッケージです。
マーケティングからフィールドサービスに至るまで、全てのフェーズをカバーできるオールインワンソリューションとして知られています。
Microsoft OutlookなどのMicrosoft製品とのシームレスな連携性が特徴です。Microsoft Dynamicsは、国内よりも海外で認知されています。
ERPコンサルタントに必要なスキル
ERPコンサルタントに必要なスキルを4つ紹介します。
- ERPパッケージに関する知識
- プレゼンテーション能力
- コミュニケーション能力
- グローバルな対応力
ERPパッケージに関する知識
大前提として、ERPパッケージに関する幅広い知識が求められます。
企業ごとに導入に適したERPパッケージがあるため、それぞれの特徴や機能を詳細に知っておく必要があるでしょう。
システムに関する知識を持って初めて、クライアントのニーズとどのようにマッチしているのかを考えられるようになります。
プレゼンテーション能力
ERPコンサルタントは、プレゼンテーション能力が求められます。
クライアントへヒアリング、提案を進めていくときにはプレゼンテーションが効果的かつ一般的な方法だからです。
ERPコンサルタントに限らず、他のコンサルティングファームへの転職をする際もプレゼンテーションを行う機会は多々あります。
コミュニケーション能力
ERPコンサルタントは、コミュニケーション能力が必要です。
特に大切なのは聞く力で、クライアント自身が気づいていないニーズを引き出すには高い傾聴力が求められます。
また携わる開発プロジェクトによっては、社内にいるエンジニアやプログラマーとも信頼構築を築いていかなければいけません。
なおどのようなクライアントでも簿記や財務、会計などの知識があればコミュニケーションもスムーズに進みます。
グローバルな対応力
グローバルな対応のできるERPコンサルタントは非常に重宝されます。
ERPの主力パッケージは海外のSAPソリューションが多く、日本企業が海外拠点を設ける際にグローバル対応のできるコンサルタントへ仕事を依頼するからです。
語学力はもちろんのこと、海外地域に関する知識や経験もあればなお良いでしょう。
ERPコンサルタントに関係する資格
ERPコンサルタントに必要な資格を4つ紹介いたします。
- 簿記
- SAP認定コンサルタント
- Oracle Master
- MBMSプログラム
簿記
簿記は会計関連で役に立つ資格です。
ERPコンサルタントは、簿記・税務・会計などの基礎的な知識があれば、さまざまなクライアントに対して汎用的に立ち回ることができます。
勘定の立て方や仕分けルールを顧客と打ち合わせする際、ERPコンサルタントが簿記の知識を持っていれば、専門家を呼ぶ必要もありません。円滑かつスムーズに顧客ニーズをシステムへと落とし込みやすくなります。
ERPコンサルタントとして会計業務に活かしたいなら、2級もしくは1級の取得が望ましいです。
SAP認定コンサルタント
SAP認定コンサルタントは、ERP市場大手のSAP社が認定する資格です。
取得をすれば日本のコンサルティングファームで優遇されます。
SAP認定コンサルタントは、既存のSAP社の製品のバージョンに依存するのが特徴です。ERPコンサルタントにおすすめの資格ですが、バージョンアップの度に勉強しなおさなければいけない大変さがあります。
しかし、重宝されるコンサルタントとなるために、常に知識もバージョンアップしていきましょう。
学習はSAP社のトレーニング受講で行えるほか、コンサルティングファームの研修でも行われていることが多いです。
Oracle Master
Oracle Masterは、Oracle社運営のOracle Databaseの管理、運用スキルを証明するための認定試験です。
四段階のレベルがあり(Bronze、Silver、Gold、Platinum)の4種類があります。それぞれ飛び級での受験はできません。
受験内容は目的により「データベース管理者」「アプリケーションサーバ管理者」「開発者」の3種類があります。
MBMSプログラム
MBMSはマイクロソフト社が公認する資格です。
取得することでERPコンサルタントとして就職・転職でも有利に働くでしょう。実際、求人欄の求める資格でも「MBMSプログラムのMCPを持っていること」などがあります。
MBMSは有償でトレーニングが受けられるのが特徴です。
ERPコンサルティングの企業一覧
ERPコンサルティングで有名な企業は次のとおりです。
- SAP Japan
- Oracle
- Microsoft
- IBM
- アクセンチュア
- デロイトトーマツ
- アビームコンサルティング
- PwCコンサルティング
ドイツにあるSAP社がERPコンサルティングファームとして最も有名ですが、ERPコンサルティングを担当するIT系企業も多くあります。
ERPコンサルタントのキャリアパス
ERPコンサルタントの具体的なキャリアパスを紹介します。
- 類似コンサルティングファームへ転職
- SAP製品に特化したコンサルタントを目指す
- フリーランスとして独立
企業によっては、ERPコンサルタントに対してインダストリーコンサルタントや業務コンサルタントといったERPに限定されないキャリアパスを用意しているところもあります。
類似コンサルティングファームへ転職
ERPコンサルタントのキャリアパスとして主流なのが、類似コンサルティングファームへの転職です。
ERPコンサルティングのプロジェクト経験を十分に積んでいれば、他のコンサルティングファームでも活躍できます。
このキャリアパスを目指すなら、自ら新規案件を獲得していける営業力やクライアントを納得させられるプレゼンテーション能力などが必須です。
コンサルティングファームに所属している場合、仮に転職しない選択肢を取ってもマネージャークラスやパートナークラスなどのポジションにも就けます。
SAP製品に特化したコンサルタントを目指す
需要の高まっているSAP製品に特化したコンサルタントを目指す方法も選択肢の一つです。
「SAP ERP(ECC6.0)」は、2027年に保守切れ問題を抱えています。各クライアント企業が対応に追われる中で、SAPを熟知したコンサルタントの需要が急激に高まっています。
引き続きSAP社製品を使いたい企業の中には、新しいERPソフトウェアである「SAP S/4HANA」を利用しようとする動きがあるので、SAP HANAについて理解のあるコンサルタントはさらに重宝されるでしょう。
フリーランスとして独立
ERPコンサルタントを究めればフリーランスとして独立もできます。
SAPコンサルタントの仕事は、SAP製品に特化したフリーのコンサルタントが手がけることも多いからです。
フリーランスであれば単価一つのプロジェクト終了後に長めの休暇をとるといったフレキシブルなスケジュールを組めるメリットがあります。
テレワークが普及する今、これからの働き方としてフリーランスを選択するERPコンサルタントも多いのが現状です。
ERPコンサルティング案件の年収相場
勤務年数によっても変動はしますが、経済産業省の「我が国におけるIT人材の動向」のよると、会社勤務のITコンサルタントの平均年収は800〜1,500万円程度(※1)となっています。
ERPコンサルタントの場合は、500〜1,000万円が相場(※2)です。
マネージャークラスともなれば年収1,000万円以上の報酬が受け取れる可能性もあります。さらにその上のパートナークラスは2,000〜3,000万円程度まで上がる(※3)こともあるのが現在のERPコンサルタントの年収相場です。
出典:
※1 我が国におけるIT人材の動向(P.5)
※2 dodaの掲載求人をもとに推定(EPRシステム の転職・求人検索結果、EPR導入 の転職・求人検索結果)
※3 転職情報サイト「KOTORA JOURNAL」
また、フリーランスのコンサルタントであれば収入はさらに高まります。フリーランスコンサルタントの年収事情については、以下で詳しく解説しています。
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まとめ
ERPは案件数が多く、新規導入やバージョンアップを検討する企業にとってはコンサルタントを求める声もあります。
経験の浅い人でも必要な能力や知識を身につけ、資格を取得することで就職・転職のチャンスも十分にある業種です。
それ以外にはフリーランスとして独立することもできます。コンサルティングファームでの実績の少ない方は、フリーランスとして活躍している人たちと繋がりを持ち、案件獲得を目指すのがおすすめです。
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