コンサルキャリア
2021.11.12
【例文あり】戦略コンサルティングファームに受かる志望動機の書き方は?(中途採用)
INDEX
戦略コンサルティングファームの選考過程では、志望動機が重視されないと聞いたことがあるかもしれません。
しかし実際は、他に重視されるポイントの比重が大きいだけでまったく選考に関係がないわけではなく、戦略コンサルティングファームへの転職を検討しているのであれば、きちんと対策しなければいけません。
そこで本稿では、戦略コンサルティングファームに受かるための志望動機の書き方や不合格になりやすい志望動機の特徴について解説します。
戦略コンサルティングファームの志望動機を書く事前準備
戦略コンサルティングファームに受かる志望動機を書くためには、事前準備が必要です。
仕事内容を把握する
戦略コンサルティングファームの仕事内容をきちんと理解しましょう。志望動機を書くためには、戦略コンサルタントの業務や、業務を通じて得られるスキル、社会・クライアントへの価値などを把握する必要があります。
以下の記事にて、戦略コンサルタントの仕事内容を詳しく解説しています。まだ職種研究ができていない方はぜひご一読ください。
戦略コンサルタントとは?仕事内容・年収・必要なスキル・未経験からなる方法を徹底解説!
求められるスキルを把握する
どの業界でも同じことが言えますが、企業は社内で活躍している人の共通点から採用要件を定めています。
志望動機を通じて、自身が採用要件を満たしていることをアピールできるようにするためにも、求められているスキルを確認しましょう。
なお、一般的な戦略コンサルタントに求められるスキルである「論理的思考能力」「コミュニケーション能力」「GRID」の詳細については次の章で解説します。
戦略コンサルティングファームの選考過程でアピールすべきポイント
戦略コンサルティングファームで一般的に求められるスキル、選考過程での評価ポイントについて紹介します。
実務経験・実績
中途採用の場合、実務経験や実績が重要な判断材料となります。採用担当者は応募者の実務経験や実績を活かせる具体的なプロジェクトを想像し、そのプロジェクトにアサインできるかどうかを考えています。
たとえば、SIer企業に勤める方の選考を行う場合であれば、以下のポイントを確認します。
- どの技術についてどの程度の知見があるか
- 要件定義、開発、テスト、運用保守のどのフェーズを担当したか
- プロジェクトマネジメント経験があるか
- チームマネジメント経験があるか
- 課題解決に最適な技術選定ができるか
これらが確認できれば、IT関連のプロジェクトにアサインできるスキルを持っているかどうかがおおよそわかります。
今回はIT領域を例に挙げましたが、他の分野や業界出身者の方も同様に、できるだけ端的かつ平易な表現で自身の実績をアピールできるように準備しましょう。
スキル
一般的に以下のスキルが求められます。
スキル | 概要 |
---|---|
論理的思考能力 | 事象を構造的に捉え、一つひとつの繋がりを論理的に把握する能力。また、問題から本質的な課題を抽出し、事実的根拠をもとに有効な解決策を導く能力(≒課題解決力)。 |
コミュニケーション能力 | 他者と協力して物事を効率的に進める能力。傾聴力、読解力、記述力、提案力、議論力に細分化できる。 |
GRID(やりきり力) | 肉体的・精神的に困難な状況でも与えられた任務を遂行する能力。 |
上記スキルは戦略コンサルタント以外でも必須のスキルですが、戦略コンサルタントにはこれらが高いレベルで求められます。
選考過程で上記レベル感を評価する質問が多く投げかけられますが、最も重要なのは「ケース問題」です。
ケース問題の解をどのように導くかで論理的思考能力を評価し、面接官とのディスカッションを含めたアウトプットを通じてコミュニケーション能力を評価します。
また、自身の主張を面接官によって論理的(または非論理的)に否定された際のスタンスを通じてGRIDを評価します。
いずれも実際のプロジェクトを遂行するために必要なスキルのため、ケース問題への対策は「解の出し方」だけでなく「コミュニケーションの取り方」にも注意して進め、十分なスキルを保有していることが伝わるように努めましょう。
資格
資格は必須ではありませんが、自身のスキルを証明するため履歴書に必ず記載するようにしましょう。
なお、以下の資格を持っていると高い評価を得やすい傾向にあります。
資格 | 概要 |
---|---|
MBA | Master of BusinessAdministrationの略称。経営学の大学院修士課程を修了すると授与される学位(厳密には「資格」ではない)。 |
中小企業診断士 | 企業経営にまつわる知識を横断的に保有する経営診断および助言のプロフェッショナル。国家資格。 |
公認会計士 | 監査および会計のプロフェッショナル。国家資格。 |
IT系資格 | ・ITストラテジスト
・PMP ・ORACLE MASTER ・SAP認定コンサルタント・Salesforce認定コンサルタント ・データベース/セキュリティ/NWスペシャリスト ・各種クラウドサービス認定資格 など |
戦略コンサルティング案件は、企業の経営層に対して企業課題の抽出とその解決策を提示します。そのため、企業課題によっては各分野の専門知識が必要です。
したがって、資格を通じてどの分野の専門知識を有しているかが証明できると、戦略コンサルティングファームの選考では有利に働くでしょう。
ただし、資格に頼りきってはいけません。「その知見をどのように活かしたか」という実績が最も重要視されます。間違っても「資格を取得しているので、関連プロジェクトでバリューを出せます」などの自信過剰とも取れる発言は避けましょう。
語学力
戦略コンサルティングファームの多くは外資系です。そのため、多くのプロジェクトでは英語主体のコミュニケーションとなります。
英語を使わないプロジェクトもありますが、英語ができる人が数多く応募してきている中で英語ができない応募者を採用するには特別な理由(強み)が必要です。できるだけ語学力は身につけるようにしましょう。
なお、外資就活の調査によると外資系コンサルティングファームの新入社員(2015〜2017年卒)のTOEICスコアは以下の通りです。
中央値 | 880 |
---|---|
最低値 | 650 |
最高値 | 990 |
出典:コンサル・外銀・商社内定者のTOEICスコアから読み解く目…
このことから、中途入社の場合もTOEICスコアを提示するなら880点以上が望ましいと予想できます。
どうしても数字の達成が間に合わない場合は、以下のようなレベルを目指しましょう。
- 日常会話レベル
- 電話や会議でのコミュニケーションに支障がないレベル
- 英語での業務遂行が可能なレベル など
スコアではなく、実務経験や実体験に基づいた定性的な表現とするのもひとつの手段です。
戦略コンサルティングファームに受かる志望動機の書き方
戦略コンサルティングファームに受かる志望動機を書くためのポイントを紹介します。
論理的な構成にする
PREP法を用いて、論理的な志望動機になるよう心がけましょう。
PREP法
- Point :結論 / 主張
- Reason :理由
- Example:具体例(事例 / データ / 状況)
- Point :結論 / 主張
まず「結論」を述べ、その後に結論に至った「理由」と「具体的な状況や事例」、最後にもう一度「結論」を述べるという流れです。これは志望動機に限らず、相手に伝わりやすくするための技法なので、今後のすべてのコミュニケーションで活用可能です。
採用担当者は、日々送られて来る大量の志望動機書(または履歴書)を読まなければいけません。
そのため、一度目を通しただけで理解できるわかりやすい文章構成になっていなければ、コミュニケーション能力が低いと判断し、書類選考で不合格と評価するケースが多いです。
端的な言い回しにする
箇条書きを用いるなど、端的な表現になるよう心がけましょう。
箇条書きにするメリットは、以下の3つです。
- 聞き手は話がいつまで続くのかわかる
- 話が構造化されるため物事の関係性を理解しやすい
- 話の冗長化を防げる
箇条書きと聞くと、文章だけで活用されているイメージがあるかもしれませんが、コンサルタントは口頭でも使います。たとえば「結論は〜です。理由は3つあって、1つ目は〜」のように活用します。
その他にも端的な表現にするためのコツは「不要な形容詞を使わない」「求められた情報だけ話す」などがあります。
普段の仕事で「端的に話して」と上司から指摘される方は、これを機に端的な話し方を学習することをおすすめします。
コンサルタントを志す理由を明確にする
「なぜコンサルか?」という問いに明確に回答できるように準備しましょう。なぜなら「コンサルでなければいけない理由」がないと不合格になりやすいからです。実際に筆者もコンサルへの転職活動中によく問われました。
この問いへの回答には、戦略コンサルタント業務の特徴をきちんと把握しておく必要があります。
(例)戦略コンサルタント業務の特徴
- 第三者的な立場からクライアント企業の課題を解決する
- 業界を横断して多種多様なクライアントをもつ
- クライアント規模は大企業〜メガベンチャー
- プロジェクト期間が短い
- 交渉相手は経営層 など
上記のような特徴をもつコンサルタントになることで何を成し遂げたいのか、成し遂げたいこととコンサルタント業務の特徴はどのように結びついているのか、このあたりを志望動機に含めることをおすすめします。
「志望理由」と「活躍できる理由」の両方を述べる
応募企業への魅力のみを志望動機として述べる方が多いですが、「自身が活躍できる理由」も合わせて志望動機に組み込むようにしましょう。
「志望理由」は自分目線、「活躍できる理由」は企業目線です。前者で応募企業の文化にマッチするかを確認してもらい、後者で採用する理由付けを行うイメージです。
戦略コンサルティングファーム内定者に多い志望動機
実際に戦略コンサルティングファームに内定した人に多い志望動機をご紹介します。
コンサルタントとして成し遂げたいことが明確
先述の通り「なぜコンサルか?」を問う企業は多いです。
そのため内定者の志望動機は、コンサルタントとして成し遂げたいことをブレイクダウンして端的かつ明確に述べているものが多い傾向にあります。
労働環境と志向性がマッチしている
一般的な戦略コンサルティングファームでは以下のような労働環境になっています。
- 早い成長が求められる
- グローバルな働き方
- 多種多様な企業の経営に携わる
上記と志向性がマッチしていることを伝えている人も内定者に多い傾向にあります。
戦略コンサルティングファーム不合格者に多い志望動機
戦略コンサルティングファーム不合格者に多い志望動機をご紹介します。
すべての主語が「自分」
「成長するために」や「将来の起業のために」といった主語が「自分」の志望動機ばかり述べると不合格になりやすいです。
もちろん自分ができること、自分の強みを端的に表現することは必要です。しかし、会社は学校やインターン先ではないため、どのようにして会社やクライアントに貢献できるかをアピールしましょう。
なぜコンサルでなければいけないかの理由が浅い
抽象的な志望動機ではなく、コンサルを目指したエピソードやきっかけを交えて具体的な動機まで掘り下げることで説得力が増します。
またその段階まで理由を深掘りすると、自然とその人の人となりや情熱、人間味が現れますので、採用側も評価がしやすくなります。採用担当者も同じ人間です。「一緒に働きたい」と思ってもらえるように自身の想いが伝わるよう表現に工夫しましょう。
転職動機が現職へのネガティブな理由
戦略コンサルに限らず、中途採用の場合、現職への不満を理由に転職する人は不合格になりやすいです。なぜなら、仮に採用してもネガティブな事象が発生した際に退職するリスクが高いと判断されるからです。
現職に対する不満は少なからず誰しもあるものですが、転職の理由にしてはいけません。キャリアアップや社会貢献軸の変化など、ポジティブな理由を伝えるようにしましょう。
戦略コンサルティングファームの志望動機例
戦略コンサルティングファームへの転職で評価された志望動機をご紹介します。
例1:Webマーケターから戦略コンサルへ
私が貴社を志望する理由は2つです。
1.多種多様な事業を発展させたいから 私は現職でSEOコンサルタントとして施策を数多く実行してきましたが、お客様のリソースが不足していて施策が実行できなかったり、Web予算が足りずに施策ができなかったり、様々な理由で施策が滞ることがありました。 その時に、事業全体を俯瞰して課題解決できる能力のなさを自覚し、SEOコンサルタントとしての限界を感じました。 世にある事業のほとんどは素晴らしいものばかりですが、一方で課題もあると認識しています。 その課題を解決するため、これまではWebマーケティングを通して世にある商品やサービスの良さを伝えたいと考えていましたが、これからはそれらを作る企業の課題を上流から解決し、企業活動を根本から支えられる人材になりたいと考え、貴社を志望しました。 |
例2:総合系コンサルから戦略コンサルへ
私はITコンサルタントとして5年間勤務してきましたが、今後はこの知見と語学力を活かして日本企業の海外進出に伴うデジタル戦略に特化したコンサルティングに注力したいと考え、昨今デジタル領域に非常に注力している貴社を志望しました。
現職では、国内企業へのERP導入支援やBPOプロジェクトのPMOを担当しており、過去に2年間は海外に常駐していたため、ITスキルと語学力を活かすことで貴社に貢献できると考えております。 |
まとめ
戦略コンサルタントになるためには、その職種の特性と自身の成し遂げたいことがリンクしている志望動機が必要です。そうでなければ書類選考の時点で不合格になる可能性が高いため、職種研究と自己分析はきちんと行いましょう。
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